+ ドリップ(抽出)の方法 +


 珈琲のドリップ方法には、いろいろな種類があります。
どの方法にも共通して言える事は、コーヒー豆のもつ美味しい成分をいかにロスなく抽出するかということです。
 ここでは代表的な方法を紹介していますが、私はこれから「自宅でも美味しいレギュラーコーヒーを飲みたい!」と思う方には、低コストで管理も簡単で手軽で衛生的なペーパードリップをおすすめしています。



■ペーパードリップ

 

 とてもメジャーな抽出方法です。
各種いろいろなカタチのドリッパーに、ペーパーをセットして、粉砕したコーヒー豆をろ過する抽出方法です。一般的な台形タイプの濾紙は、スーパーやコンビニ等でも入手ができます。
管理が簡単で、手軽で衛生的で、さらに練習すればお湯加減や注ぎ方を調整して自分好みにコーヒーを落とすことができます。
細口ケトルとミルさえ揃えれば、あとは練習するだけでプロと同じ味が再現できます。
 ですが、欠点もあります。メリタ以外は、ちゃんとした細口のケトルがないとしっかりと味を出すことができないのと、やはりそれなりの理屈がわかって練習を重ねていかないと、お店のような美味しさを最大限に引き出せません。

 代表的なメーカーに、台形の濾紙を使うドイツのメリタ、日本のカリタがあります。
基本的にはカリタ式ですが、少しマニアックなものにボンマック、三洋産業があります。
また、三角錐のカタチをしたドリッパーには、コーノ式やハリオのV60、ユニフレームのコーヒーバネットがあります。
インテリア雑誌にもよく出てくるビーカーみたいな円錐型のケメックス、円柱型のドーナッツドリッパーもペーパードリップ方法です。

 これまでマイナーだった三角錐のペーパーは、ハリオの取り扱い店舗が増えているので、雑貨屋やホームセンターでもV60用のものが入手できます。

 たまに「ペーパーは紙の臭さや味が気になる」という年配の方がいらっしゃいますが、昔は塩素漂白という方法で作られていたので、有害で臭いも良くなかったのですが、今は酸素漂白に変わっているので、試してみてはいががでしょうか。あるいは、カリタやスリーフォー(三洋産業)といった専業のメーカー品を使う。それと保存の際は、湿気や他の臭いが移らない場所でないとペーパーが臭くなって、コーヒーの味も台無しになります。
(私は雑貨屋で買った箱に器具を入れておいたら、紙が百枚台無しになったことがあります…。)

 ドリッパーにはインテリアとしても優れている陶器や銅のもの、コストが安く内側のリブまで計算どおりに細かく射出成型されている樹脂製のものがあります。各社それぞれ、個性があり、選ぶ楽しみがあります。雑貨やインテリアまでこだわって美意識をお持ちの方は、ケトルやサーバーなど星の数ほどある中から、デザインも含めた自分のベストチョイスを探してみてはいかがでしょうか?



■ネルドリップ

 

 フランネルという平織りの布地をフィルターに用いて抽出する方式です。
いろんな方法があるけれど、やはり一番美味しく飲めるのはネルドリップといわれます。
私も、とびきりの良いコーヒー豆が手に入ったときには、ここ一番でネルを使います。
 その理由は、コーヒー豆に含まれる油分がネルを透過するため、どこかトロリとした、まろやかな味わいになるためです。それに比べて、ペーパーフィルターの場合、ろ紙が余分な雑味やアクなどをろ過してくれますが、水を吸った紙が油分をはじく(だから蒸らしでペーパーにお湯がかかならいようにする)ため、ネルドリップほどのコクを引き出すには至りません。
ネルの後に、同じ条件でペーパーで落としたコーヒーを飲むと、全然別物なのでみんな驚きます。

 コーヒー豆の味を最も引き出すには、カッピングのように直に豆を味わったり、後述のフレンチプレスで抽出する方法がありますが、そうするとかなり濃いし、粉っぽいし、油分もすごいことになります。スペシャルティコーヒーのような上等な豆を味わうには向いているかも知れませんが、やはり適度にろ過してうまみ成分も透過させたいなら、ネルドリップになるでしょう。

 ネルの欠点といえば、やはり保存管理が面倒なことでしょう…。
新品ネルの使い始めは糊を取るために煮沸して、使用後もやはり煮沸しなくてはいけません。ネルが乾燥すると雑菌が繁殖したり、空気に触れて酸化するため、水を入れた容器の中に保存しなくてはいけません。水は基本的に毎日取り替えますので、金魚の飼育などをしたことのない人には、なかなか面倒に感じるかもしれません。(毎日じゃなくても、2〜3日で気づいたら交換します。)
洗剤もニオイが移ってしまうので使わないようにします。


 


 話は変わって、アウトドアで美味しいコーヒーを飲もうとすると、折りたためるコーヒーバネットを使用する人が多いと思うのですが、ネルもコンパクトになるので意外と野外で使えるかも知れません。使用後はジップロックに入れておいて、帰宅したら煮沸すれば大丈夫だと思います。



■フレンチプレス
 どちらかというと、紅茶の器具と思われていることが多いようですが、基本的に同じ原理です。蓋についた目の細かい金網フィルターを押し下げてから、いただきます。
基準はお湯を注いでから「4分ジャスト」で仕上がるのですが、30秒早くても、遅くても味が変わってしまうので、必ず「キッチンタイマー」が必要になります。
 サイフォン方式のように、有名店でもそれぞれ湯の注ぎ方や、かき混ぜる回数などに作法がありますが、基本の手順さえ覚えてしまえば誰にでも同じように抽出できるので、意外と初心者の方にでも扱えます。もし購入するなら安い通販でも良いけれど、例えばスペシャリティーコーヒーやボダムを取り扱っている専門店で、美味しいプレスでの入れ方を説明してもらいながら購入するのが良いと思います。お手製の日本語の説明書をくれるかもしれませんよ?

 フランスのボダム社の「シャンボール」というモデルが有名ですが、カッコいいけど4,200円もするし、もし購入を検討してる方は同じボダムでも樹脂フレームの安価なものや、国産のハリオでも大丈夫ですよ。ステンレスの魔法瓶タイプもカッコいいけれど、さらに高価になります…。プレスは置いておくとインテリアとしても優れたデザインになります。

 欠点は、使用後の手入れが面倒なことですが、慣れてくれば機械好きの男子なら、きっと武器や内燃機関のオーバーホール(分解洗浄)している感覚になったりして、時間と心にゆとりがあるときはお手入れの時間も愉しいひとときになるかも知れません。
 私は好みの問題で、あまり油っぽくて粉っぽいプレス方式よりは、扱いも簡単なペーパードリップ方式で、その時の気分や人数に合わせてコーノやメリタやボンマックなどの器具を好んで使い分けています。コーヒーは嗜好品で、こだわり出したらキリがないけれど、たまにフレンチプレス原理主義や、プレスにかかわらず○○式が最高!っていう方がいらっしゃいますが、結局のところ豆も淹れ方も好みの問題なので、もっと気軽に楽しんだら良いと思いますよ!







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