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<ベスト・キッド>
 いじめられっ子の青年ダニエルさんが、あるときカラテの達人ミヤギさんに助けられ、カラテを教わることで、イジメっ子チンピラ・カラテ団体に大会で戦いを挑むというもの。
このように物語はいたって単純である。
 おもしろいのは、Mr,ミヤギから受ける稽古は、いつもカラテと関係ないようなペンキ塗りや窓拭きなのである。で、あるときシビレを切らして「もうこんな練習役に立たないヨ!」とダニエルさんが放棄しそうになると、いきなりエイヤーッ!と突きを出される。すると、身体が自然に反応し、これまでの動作がすべて「廻し受け」や「天地の構え」などの基礎練習であることがわかるのだ。ベタだ、ベタすぎる。素敵である。

 そして、最後はモチロン、街の不良カラテ青年との決勝戦。
いままでのカラテもさすがに苦戦を強いられてしまうが、そこでダニエルさんはMr,ミヤギから伝授した奥義を繰り出すのである。あちょー!



<ベスト・キッド2>
 Mr,ミヤギのカラテの師匠でもある父親が臨終につき、故郷のオキナワへ帰ることになった。そこでダニエルさんもついていくのだが、ふるさとの村ではかつてのミヤギの恋敵であるライバルの男が待ち構えていた。
なんでも、ミヤギさんは若い頃に恋人をめぐってライバルの彼にカラテの決闘を申し込まれたのだが、逃げるように渡米したというのであった。その恋人は結局ミヤギさんを想い続けて結婚もせず、老女になっても彼を待ち続けていたというソルヴェーグのような方である。
 で、その男はヤクザになっていて、その舎弟がまたダニエルさん達に絡んでくるのだ。やがて嵐がやってきて、夏祭りというときになってダニエルさんに事件が起きるのだ。



<ベスト・キッド3>
 今回は1の続編で、いきなりダニエルさんが1で仲良くなった女の子にフラれてしまいます。傷心の中、ヤケを起こしそうになっても、相変わらずMr,ミヤギは役に立たなそうな練習ばかりさせる。そんな心理状態の不安定なダニエルさんに、1で倒れたチンピラ空手家の一味が復讐のチャンスとばかりに、彼を追い詰めてくるのである。3になって1の続編とは『ダイハード』シリーズのようなシリーズ展開である。もしくはチャイルドプレイ(笑)
 で、今回は自暴自棄になったダニエルさんがチンピラ空手家に教わった顔面パンチやら、えげつないが喧嘩では実戦的な戦法を使ってしまいます。もちろん、ミヤギさんも彼を気遣おうとしているのですが、ダニエルさんとは心がすれ違ってばかり。
 そしていよいよチンピラ空手家が本性を表わした時になって、おかしいと気づいたミヤギさんが彼を助けに来るのだ。



<ベスト・キッド4>
 おおっ!知らないうちに4が出ていたぞ!?キャストはもうダニエルさんは出ない(いいトシになってるだろう)し、Mr,ミヤギ役のパット・モリタさんは故人になられたけど、主人公は女の子で復活だ。まだ観てないけど、きっとカラテを通じて成長してゆくストーリーは受け継がれてゆくだろう。相変わらず妙なチンピラも出てくる設定で。(笑)



<ベニスに死す>
 
トニオ・クレーゲル原作の世界的名作文学をビスコンティ監督が映画化。これまた映画史における名作である。映像の演出が今時のようにCGなど一切使っていないのに、何だか見ているだけで妙に圧倒されてしまい、終始「はぁ〜…」とため息が出るのみであった。
 もしくは「うへぇぇーー……」。
借りたビデオには故・淀川永治さんの解説書がついていた。
 物語のあらすじは、創作活動が思うようにいかず精神状態がよろしくない初老の作曲家が、このままではイカン、と美しい水の都ベニスでバカンスをとることになった。そこで彼が見た青年の美しさに心奪われてしまい、しかしそれに気づいた青年は老人の気持ちなどあしらうように冷たい態度をとる。
 一度は自分の気持ちに決別するため、ベニスを離れようと試みた老人だが、やはりその心は抑えきれるものではなく、絶望と希望が頂点まで達したとき老人はいき絶える。

なんだよー、ゲイかよー。と思う無かれ。
芸術家とは普通の人とは異なる鋭い感性を持っているものだが、その彼がついにこの世にあった「絶対的な美」を見つけ、心酔してしまうだけなのだ。

音楽は終始マーラーの交響曲第5番の第4楽章が流れていて、この「ベニスに死す」といえばマーラー第5(の第4楽章)と連想されるほど有名である。
ま、余計な説明はいらないから、とりあえず本作品を見て欲しい。その美しさの持つすごさに、ただ圧倒されるだろう。「はぁ〜…」。。


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