映画レビュー「ふ」


<フォレスト・ガンプ 一期一会>
 ベトナム戦争時代の米国社会劇。
スティーヴン・キング原作なら当たりの映画だ。
…と思っていたら、この作品の原作者はウィンストン・グルームという人らしいです。これはイギリス系の名前ですな、ウム…。
 実は私のレビューを読んでくださったお客様から、正しい情報を教えていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。Cayo様、どうもありがとうございました!
記憶をもとにした情報というのは、あやふやになりがちですので、このように指摘してくださると大変助かります。(僕は役者の名前とかわからないとき、ひらがなで書いちゃうことも多いです…)

 あまりに純粋な男がベトナム戦争での従軍や、幼馴染みの女との波乱万丈な人生を描きます。この主人公はトム・ハンクスだっけ。
彼のおとぼけ顔での好演といえば想像つくと思うが、不条理な世の中でも純粋なハート一直線で人生という重いテーマを温かく、素敵に描く。
(私はよく「グリーンマイル」と間違えて認識してしまうのが玉に瑕。)


<プライベート・ライアン>
 先ほどチラっと紹介にあずかりました、最高の戦争映画の大傑作です。スピルバーグ監督作品。
当時のボートやセットを用意するのは彼の資金力を持つ作品じゃなければ実現不可能だったかもしれぬ。そのくらいリアルな第二次世界大戦。
そうそう、翻訳が戸田奈津子なのがクセモノだ…。ブラックホーク・ダウンがなっちの翻訳になっていたら、おそらく傑作と言い切れるか不安に思う今日このごろ。
 さて、これは反戦戦争である。というか、いままで正義!正義!という言葉を振りかざして、世界の侵略や大虐殺を行ってきたアメリカに対する「あの戦争は何だったのか…?」という問いかけの作品。俺は社会としてのユダヤ人は好きになれないけど、スピルバーグは平和主義者だと思うから目をつむることとする。
 ストーリーは兄弟が皆、戦死してしまったライアン二等兵の母親がかわいそうだから、ただ一人残されたライアン二等兵を救出して母の元へ帰還させろ、というお国の命令。その任務の為に集められた兵士たちの苦悩。
 どこにいるかも知らないライアン二等兵を探すために、あちこちの戦火をくぐっていく兵士たち、しかし自分達は一体何のために危険な任務を遂行するのだという疑問も抱く。
 戦争映画の終わり方は結局「アメリカ万歳」になってしまうのが良くないのだそうだ。確かにどの映画も「アメリカばんせー」でエゴ丸出しのお国柄ではあるが、この映画に関しては気分は悪くならなかった。星条旗だけが無言で語りかけるのである。



<BROTHER>
 北野武の主演監督作品で、ノリに乗っていたバイオレンス作品。ヤクザもの。
日本のヤクザが、アメリカへやってきて瞬く間にその凶暴性で界隈をのしていく。しかし彼の孤独な寂寥感は満たされることはなく、マフィアとの抗争も容赦なく激化していく。
もう、いよいよ皆殺しだ。
という状況になったとき、彼ら“兄弟”はどうしたのか。というストーリー。
 相も変わらず、北野映画のバイオレンスな描写が冴える。そろそろ暴力描写は出尽くした感があるという人もいるが、毎回新しい暴力のシーンを見せてくれると思う。今回では、折ったわりばしを鼻に突っ込んで掌底でドン!と突っ込むシーン(カメラに血の手形が付着して、引き攣るような悲鳴が響く)や、暗闇で待ち伏せに遭いマシンガンで一斉に虐殺されるシーンの断続的なフラッシュの演出などである。
 北野映画のヤクザ(というか主役)はどれも悲惨な末路を辿るのだが、その実、どれも人間味のある奴ばかりで、最後に読後の寂寥感のようなものを与えてくれる。日本文化のわび・さびにも通じる部分がある。


<ブラックホーク・ダウン>
 これは傑作戦争映画である。とにかく派手なドンパチである。監督はリドリー・スコットで音楽はハンズ・ジマーで最高!である。
米軍側はテクノ風、原住民の民兵は民族楽器のイメージで音楽が流れている。
 これは1993年、実際に起きた事件を再現したもの。アフリカのソマリアで独裁主義をしているアイディード将軍を捕縛するために、アメリカ軍の特殊部隊デルタフォースや海兵隊がヘリで降下して脱出する予定であった。30分くらいで終わるはずの予定が、最新鋭のヘリコプター「ブラックホーク」が撃墜されてしまい、数千人(数万人?)の銃を持った民兵に襲われるもの。ハチの巣をつついたようなもので、街中の人という人が子供さえAKライフルを持って襲ってくるのですヨ。
で、雨のような銃撃戦の中で墜落したヘリへ救出に向かうのだが、何しろ弾薬などもロクに持たなかった中で消耗戦である。そうしているうちに、もう一機のブラックホークもRPGロケット砲で撃墜されてしまう。
まぁー…とにかく最初から最後まで銃撃戦である。「プライベート・ライアン」の冒頭の激しい銃撃戦がずっと続くと思ってよろしい。当然スプラッターも覚悟して観るのだゾ。

 本作品は悲惨な戦争を写すことで反戦を訴えるらしいのだが、そうとは思えないとの意見もあり、どっちもどっちである。なぜなら私が考えるに、悲惨な映像を写さなくて戦争の何がわかるか!ということであり、それならばバーホーベンなどキワドイ路線であるが、言いえて妙である。 また、こりゃ反戦作品なのか?という疑問に対しては、エアガンの好きなサバイバルゲーム小僧が喜ぶのは単純にこういった派手なドンパチ映画であり、そういう視点から捉えれば戦争映画は全て娯楽作品なのである。これもバーホーベンの映画が戦争パロディーと呼ばれる由縁かもしれないが、彼が子供の頃は戦争の光景をただスゲー!と思って観ていたに違いないのだ。私は昔からアクション映画を観て育ったから、戦争映画は娯楽として愉しんでいるが。
「戦争は人が死ななければ最高のページェントだ」と言ったのはヘミングウェイか。

まぁ、そういうことでダメな人にはとことんダメ。途中でリタイアしてしまう映画だが、戦争映画としての出来栄えは(B級が多い中で)なかなか優れている。


<ブラック・レイン>
 戦後の日米合作ハードボイルド・アクション映画ですが、往年の名俳優が勢ぞろいです。監督はリドリー・スコットだったんですねぇ。影の使い方と人間描写がナイスです。
 これはヤクザ同士の戦いがテーマとなっているのですが、高倉健や松田優作などが渋い演技をしているのでまさに抗争!仁義無き戦いの世界にアメリカ人も圧倒されてしまいます。どうだ、まいったか!
 ブラック・レインというタイトルで、原爆を想像する方は多くいらっしゃると思われますが、この映画のキーはまさにそれで、日本のヤクザが「俺はあの、黒い雨を見たんや…」というセリフに集約されています。
日本は戦争に負けてメッタメタになったが、アメリカ人への怒りを忘れたわけじゃあねーんだぞ!!という気持ちがこうした映画という形で残されたことを観て欲しい。



<プラトーン>
 ジャケットの兵士の妙なポーズは、作品を観れば「ああ、こういうことだったのか…」とわかります。ジーザス!
ベトナム戦争映画です。若き日のチャーリー・シーンが主役で、彼は良心(人間性)の残るアメリカ兵。で、『山猫は眠らない』のトム・ベレンジャーが非情なアメリカ兵の役柄で登場。こいつと、もう一人の良心的兵士との戦場下における対立を描く作品。
 ちなみによく流れる弦楽器の悲しいメロディーは、バーバーによる『弦楽のためのアダージョ』という作品で、ベスト・クラシック100というCDに収録されています。


<ブルース・ブラザーズ>
 スーツ姿がトレードマークの不良コンビが、教会の財政難を救うために、かつてのブルース・バンドを再結成しようと大騒動を起こす作品。ソウル歌手のジェームズ・ブラウンなど豪華キャストの友情出演もある。
ミュージカルのように様々な歌があり、ハチャメチャなカースタントあり。
ショッピンモールを丸ごとクルマで壊していくシーンなんて、よくある「制作費○○○億円」なんていうつまらないCMの前では無力だわさ…。
これはもう、『メチャクチャ面白い映画』の一言で説明は十分だ。



<フルメタル・ジャケット>
 スタンリー・キューブリック監督作品のベトコン映画である。DVDの裏表紙には史上最高の戦争映画!とあるが、確かにある意味で最高である。どちらかというと「史上最悪のボートレース・ウハウハザブーン」に通じる最高さ、といえば何となくわかるだろうか。
 ベトナム戦争における戦闘マシーンとなるべく地獄のような訓練を受ける海兵隊と、鬼教官ハートマン軍曹。海兵隊員は一歩間違えれば「ポリス・アカデミー」並の個性派揃いである。それぞれハートマンにアダ名をつけてしごかれる。
戦争において冷酷な殺人マシーンとして訓練を受けているうちに、次第に人間性がおかしくなっていくというのがこの映画のテーマなのだが、何しろおかしいのはこの鬼教官である。放送禁止用語連発である。
具体的にどんなものかは、本当に放送禁止用語多発なのでここでは控えるが、Fuckでshit!!なハートマン軍曹のファンは世の中に大勢いるもの。気になる人は試しに「ハートマン軍曹」で検索してみるとよろしいヨ。
冒頭の30分だか一時間はこの象徴的なシーンじゃないかな。
 この映画は彼のためにあるようなものだ。
ちなみに、ハートマン役のリー・アーメイ氏の公式サイトもなかなかステキでよろしい。表紙のフラッシュが何言ってるかわからないが楽しいワ。

映画そのものは大した事ない。が、ベトコン独自の雰囲気がよく描写されていて好き。かの開口健せんせーもこの点だけは褒めていたナ。



<プレデター>
 エイリアンと並んで有名なSFホラーアクションの作品です。シュワちゃん主演の初期の作品で、『コマンドー』と似ています。
 このストーリーはジャングルに捕虜がいるかもという真相を確かめるべく、コマンドーのような集団が密林を潜入していくのだが、途中で皮の剥がれた遺体を発見する。拷問・処刑された捕虜かと思い原住民に話を聞くと、古来より真夏の満月の晩に森の悪魔が出るのだという。
 やがて見えない敵からジャングルで次々に抹殺される部隊員たち。罠を張ったり、遺体の痕跡を調べるうちに、人知を超えた何ものかの存在が明らかになる。
見えないから生き延びるために、シュワちゃんのサバイバルな戦いが始まったのである。

 昔から何度もTVのロードドショーで放映しているが、いつも緊張しながら最後まで楽しめる。


<プレデター2>
 2では、もったいない話だがシュワちゃんが主役を辞退したらしく、違う人が主役をしています。
黒人さんだっけかな?すると『M・I・B』にも似ているな。
前回の事件で明らかになった謎の生命体、そいつらが都会に出没してしまい、さぁ大変というもの。『グレムリン2』みたいなあらすじ。まぁまぁ、それなりにシリアスなSFアクションだが、終わり方がいつも私の人生の大きな疑問の一つとなっている。
 ワケがわからないので、誰か教えてください。



<ブロークン・アロー>
 核爆弾を搭載した列車がテロリストに強奪されたので、それを阻止するために主人公とヒロインが潜入してドンパチやるというもの。あれ、それは『アトミック・トレイン』だっけかな?まぁどっちでもいいや。確かなのは、これジョン・ウー監督作品ってこと。
『ターミネーター』や『ダイハード』シリーズばかり観ているので、たまには違うアクション映画を観たいという方は観ればよろしい。
特に濃厚なベッドシーンや肉片がリアルに四散するシーンもないので、夜のロードショーでも忘れた頃にしばしば放映される。最後までそれなりに楽しめる、無難によくまとまっている作品。
 主人公の使用している拳銃が、定番のベレッタM92じゃなくてスイスのシグ・ザウエルP228というのが他と違う。


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