映画レビュー「こ」


<氷の微笑>
 あの「スターシップ・トゥルーパーズ」のバーホーベン監督作品だから、一体どんな問題作なのだろうと思っていたら、濃厚なベッドシーンと痛い惨殺シーンが健在のすごいサスペンス劇場でした。「こおりのびしょう」と読みます。
「髪結いの亭主」や「シャレード」で冒頭は大事と書いたけれども、この作品の冒頭も凝っている感じはします。スタッフのクレジットが表示される背景が、何だろう…人が写ってるのかな?あれ、何かの動物がうごめいているのかナ?おや、ベッドシーンの断片を集めたモザイクなのかな??という具合に。
 ま、ストーリーは殺人事件を調査するマイケル・ダグラス刑事が主人公で、容疑者の女は殺された男と肉体関係のあって、事件とまったく同じ手口を描いていた小説家だ。(マドンナとシャロン・ストーンはいつまでも若いよなぁ。)
 でも、彼女からは事件の証拠が得られないばかりか、かなりの知能犯であるらしく、わざと容疑の疑いを誘うような挑発的発言をしたり、周囲の反応を先読みしていて裏で操作しているのです。

 妖艶な魅力を持つ彼女は、刑事を誘惑して捜査を混乱させるような言動を取る反面、愛人を失う悲しみを刑事に打ち明けたりします。
やがて複数の殺人が発生していき、犯人は主人公の周囲にいるのではないかという疑惑まで浮上するが、最後まで真犯人はわからない「推理小説」のようです。
 あちこちにヒントが隠されているのですが、ビデオの巻末に監督からの特別ヒントがあり、ようやく真犯人が誰なのか分かった(気がして)寒気がしました…。

なんと最近、再びシャロン・ストーン主演の続編が出たそうな。(コメディー作品も存在している)


<ゴジラ>(シリーズ)
 昭和版から平成初期が良い。ここ最近の特撮モノはいまいち「熱さ」が感じられない。怪獣の動きもあまりに普通の「八頭身の人間」すぎる。 昔の怪獣は岩でバレーボールをしようが、怪獣同士が会話して字幕が出ようが、ワイヤー吊りや、作り物感バリバリであっても、妙な説得力があったものだ。
 たとえ背中のチャックが見えようとも……。

 ゴシラは本来、「反・核兵器」というテーマ性を持った作品であった。
だから全身はケロイド状に焼けただれ、鳴き声には悲しみに似た弦楽器の響きが余韻を残すのだ…。
昭和のシリーズものにあっては、宇宙人、科学の力、環境汚染のように、その都度時代を反映したテーマに変わっているのだ。

個人的には平成初期の「ゴジラ対ビオランテ」が好き。
ただし、ハリウッド版は映画史上最低の駄作。

(関係ないけど、英国車のジャガーは「ジャギュア」と発音するのが正しいという。ここは一つ、ゴジラも英語で「ガッズィーラ!」と発音してみようではないか…笑)



<ゴースト・ハンターズ>
 たまたまTVでやっていた妖怪退治アクション。主役は中華料理店オーナーの中国人と、トラック運転手のアメリカ人の友達二人。空港で誘拐された中国人の婚約者を助けに、地下組織に大冒険に出るよー。
 何がおもしろいかと言えば、危機に瀕している状況でカート・ラッセル演じるアメリカ人の場違い的な話し方であったり、マヌケぶりだったり、気ぐるみ感バリバリのさまざまな妖怪たちであったり、その妖怪のボスが自分の呪いを解くためには緑の眼の女と結婚しなくちゃいけない、というブッ飛んだ設定だったりする。
このおもしろさはグレムリン的であり、グーニーズでもありとても印象に残った。
SFXといってもやはり着ぐるみにしか見えない。。ぷぷっ!でも笑える。
ボスの倒し方も、終わり方も、なんじゃそりゃ!?って感じ。
古本屋に中古のパンフレットがあったのを保護しておけばよかった…。

やべぇ、ホームセンターでDVD発見。どうしよう…。

追記:
DVD買っちゃいました!(どーん)
 日本語の吹き替えが、数年前にTV東京で放送したままだったので最高に面白いです。(カットされた序盤の7分だけ英語になります)
 絶対買いましょう! はじめに「メニュー画面」で日本語吹き替えにしようとボタンを押したら、(じゃじゃじゃあ〜ん・・・)と不気味な音楽が流れ、地獄の門みたいな場所を進んでいきますが、妙に長い。どうにも長い。おかしいなぁ〜選択画面まだかなぁ〜本編始まっちゃったのかなーでも会話の途中だったしなぁ〜と思っていると、いちなり(
ちーん・・・♪)となって大爆笑。メニュー画面の演出もナイスです。
 私の中では、ベストの作品にノミネートされました。「グーニーズ」と「片腕ドラゴン」を合体させて2で割ると、この「ゴーストハンターズ」になります。それくらいの傑作です。20世紀FOXのDVDなので、今なら980円で手に入るからコレを見つけたら絶対に買いましょう。監督は「遊星からの物体X」の奇才、ジョン・カーペンターです。

「俺たちに明日はない」と「ゴーストハンターズ」をDVD化してくれた20世紀FOXは最高です。



<ゴースト ニューヨークの幻>
 アメリカの80年代ラブ・ストーリーの名作。何かの事故で銃弾に倒れてしまった主人公が、ウーピー・ゴールドバーグの演じるイカサマ黒人霊能術師の協力を得て、喪に服する恋人との愛を再現する映画。
 成仏できないで現世にさまよう主人公は、もし人が死んだ場合、善人は天から降り注ぐ光に導かれて昇天していくし、悪人が死ぬとと恐ろしい冥界の使者がやって来て引きずり込まれていく…という光景を目の辺りにする。

 やがて霊能者の力によって、めでたくデミ・ムーアの演じる恋人に認知された主人公だが、喜びもつかの間、このまま成仏しないわけにはいかなくなってしまう。メリー・ジェーンのような愛のテーマ曲はあまりにも有名。ラブロマンスの名作だ。


<ゴッド・ファーザー>
 20世紀の巨匠、フランシス・フォード・コッポラ監督の代表作。
 「恩には恩を、仇には復讐を!」をモットーにしている、イタリア系移民マフィアのボス、ドン・コルレオーネを父に持つ次男のマイケルは、父や兄たちの生き方に反感を抱いていた。
 ところが、恋人と静かに暮らすことを夢みていたが、麻薬がらみの利権に巻き込まれたドンは銃弾に倒れてしまう。瀕死の父を見て復讐に燃えるマイケルは、やがてマフィアとしての頭角表わしていくが、ファミリーは抜け出せない泥沼の抗争に巻き込まれていってしまう。
 「ゴッド・ファーザー」は、そんな悲しいマフィアの家族の物語である。

「ユー・ガット・メール」の中で、男たちが悩める女に、「ゴッド・ファーザー」のセリフを引用しながらアドバイスしている。それに対して、女たちは「なんで男って、ゴッド・ファーザーが好きなのかしらね〜」と漏らしている。
 日本の男には、初代ガンダムの熱狂的ファンが多く存在している。
おそらく、それに通じるものが「ゴッド・ファーザー」にはあるのだと思う。
主人公の青年が、戦火の中に巻き込まれてしまうところや、儚い恋物語があったり、男のセリフが印象的でカッコイイところなど、共通点を挙げればキリがない。
 畢竟、それは女には理解しがたい男のドラマなのだ。

<ゴッド・ファーザー PartU>
 シリーズ2作目。マフィアのドンとして頭角を現したマイケル。しかし危険な目にさらされる家族は彼の稼業に嫌気が差して、妻をはじめ家族は離散してしまう。そんなマイケルの心の葛藤と、誰からも慕われた父親のドン・コルレオーネの生い立ちを交錯させて描きます。
 ゴッド・ファーザーとは「名付け親」の意味ですが、キリスト教社会で名付け親は実の父親に次いで子供への責任と権威を持つことは、日本ではあまり知られていません。このあたりを念頭に置いて作品を観ると、もっと家族を描いた「ゴッド・ファーザー」を理解できると思います。本作品の最後はあっけないようでいて、私の中でも最も印象深い終わり方です。ため息をつくマイケルの表情は暗いままです…。

ところで、このキャスト陣を見ましたか?あの豪華名優が共演しているのは、この作品だけなんですよ。

<ゴッド・ファーザー PartV>

 シリーズ完結編です。
PartVはコッポラがお金儲けの為に作ったなんていう人もいるけれど、私はこれが最も好きですね。光と影、それに音楽。相変わらず、すべてが計算しされつくしています。
パーティーの華やかな舞台の裏では、ファミリーと闇取引をしているシーンなど、よく注意してみてください…。
 本作では、いい感じに年をとったマイケルと、成長した子供たちの家族の絆を確認できます。
裏社会では誰もが知る大物になったマイケル、しかし今後は娘を代表者にして合法的なビジネスを展開していこうとします。自分はもうマフィア稼業を引退したいけれど、後継ぎとして任せられるのは血の気が多いロバート・デニーロだけ。色々あって彼を後継者にする事になったが、悲劇は終わらなかった…。

 もうね、ラストのシーンがすべてですよ。
「あ”−−−−−−−っ…!!」っていう号泣。あの表情…。
移民系のシチリア・マフィアに捧ぐ一大抒情詩は、すべてここに完結したのだ。

 悲しいなぁ…。


<コマンドー>
 シュワちゃん初期の作品。
元コマンドーのスゴ腕のマッチョマンが、大統領暗殺との引き換えを条件に娘を誘拐された。タイムリミットは24時間だ。そこで男は娘を救出するために悪のクーデター集団に単身闘いを挑む傑作である。
 この頃のシュワちゃんはステロイド服用しまくっていて筋肉ムキムキである。さらに展開が強引である。
敵が「娘を助けてほしければ大統領を暗殺しろ、わかったな?」と、いえば「嫌だ!」ズドンである。。片腕でブラさげた敵を、「命を助けるかわり」にとボスの居場所を聞いた直後、「あれはウソだ。」と崖からポイである。。。
他人のクルマに乗り込んだ挙句、怪力でシートを引っ剥がすわ、電話ボックスごと敵を揺さぶって放り投げるわで、もうゴリラである。メチャクチャ、である。
さらに、敵さんが大勢でドンパチ撃ってくるのに弾が一発も当たらないのがステキである。やっとマシンガンが弾切れを起こしたら、今度はショットガンでズドーン!である。(このシーンはカッコイイ)

 最後はお約束の溶鉱炉で、宿敵ベネットとジリジリするようなナイフの格闘戦だ。
パパが助けに来たと気づいた娘が飛び出すと、運悪くそこには宿敵ベネットが!
 「娘を放して男らしく戦おうじゃないか。来いよ、ベネット!俺をナイフで切り刻んで、痛めつけたいんだろう…?」 敵も銃を放り出して、ナイフを構えるのだ。

 思えば、これが私が本格的にアクション映画好きになったきっかけの作品かも知れない。よく録画ビデオ観てたもんなー。改めて観るとけっこう低予算であるが、しかしながらテンポの良さが大切であるなと実感させられる作品であった。DVDならテープみたいに伸びないからもう大丈夫。

そういえば、何度も重ね録りした「コマンドー」のビデオを再生してみたら、グリーンベレーのおっちゃんと戦うシーンのセリフが「それなら俺は好物なんだ」でした。吹き替えが変わる前の録画を上書きしてしまったことは、もったいないなぁ。


<米百俵>
 日本の映画には、こんな名作があったのか!!
俳優は私の知らない人たちだが、往年の名俳優であるという。
小泉純一郎の内閣就任に際して、「米百俵の精神で…」というくだりがあった。
 これは薩摩藩が福島県の方まで攻めてきた戊辰戦争からの、日本が近代化に向けて切迫していた時代の実話である。

 長州藩(いまの長野県?)は先の戦争で闘う前に終結し、敗れてしまった…。
飢餓に苦しむ長州藩においては不遇の時代を迎えるが、見るに見かねた他の藩から支援策として「米百俵」が送られる。
 しかしこの藩の頭脳とも呼ぶべき人は、それだけの米は藩の人々に分配しても微々たるものであり、先見の明を持って米を売り払い、将来有能な人材を創りあげるための学校を設立しようとした。
 どんなに偉い立場の人であろうと、さすがの藩士たちは黙ってはいない。
彼の妻はとうとう反乱分子の手にかかり斬死させられてしまうし、悲しみに暮れているところに刀を手にした一同が邸宅に押しかけてきた際の話である。

 彼らを一喝して制止し、代々長州藩に伝わる家宝を持ち出してくるとそれを見た一同は、突然刀を落として平伏したのであった。
彼の手には、先の藩主が残した長州藩の武士の規範である「常在戦場」と書かれた掛け軸があったのだ。
 国家繁栄のために命を投げうって説得した彼の功績は、やがて後世に多くの優秀な人材を輩出したことで知られている。日本の傑作映画だ。


<殺しのアーティスト>
 2chの刃物板で「ナイフが登場(活躍かな?)する映画」というスレッドがあった。そこで紹介されていた映画。記憶の片隅にあったものが、ある日ブックオフの中古ビデオで発見され、すぐに私の手によって保護されたというわけだ(笑)。
 ストーリーは、写真家が殺人事件を調査しているところ犯人に襲われてしまう。しかしナイフの達人によって助けられて、彼に弟子入りすることを決意。やがて再び調査が進むうちに、遺体に切り刻まれたPの文字と、ナイフの師匠との関連性が浮上する。
 鏡に八文字のラインを書いて、その軌道をどこからでも自由に切れるようにナイフを振る「エイト・スラッシュ」の練習をする主人公はいよいよ真犯人と対面するのである。「ハンテッド」のように、本当のプロの戦いは地味で決着が着くのも早い。
 ちなみにナイフの師匠役は「ドーベルマン」で悪徳刑事を演じたチェッキー・カリョである。ギラギラした目つきがなんとも不気味でイイ味を出している。(ホモだとか?)



<コンバット・アカデミー>
 地方のさびれた文具屋とか、ビデオ屋を見つけると、ジャンク品の山の中から時たま掘り出し物が見つかるのではないか…と期待して、覗かずにはいられない。骨董趣味といえば聞こえはいいが、やっていることはただの物好きである。ハタから見れば、ただのヒマ人かも知れぬ(笑)
 しかし、良いものにめぐり合いたいと想い続けていると、年に一度くらいお宝を見つけることができる。趣味の買い物の楽しみとは、そこに妙味があるのだ。

 で、見つけたのが本作品。結論から言えばハズレ、超駄作である。
あの「ポリス・アカデミー」シリーズのプロデューサーが活躍する以前の作品という解説を読んで、私はかなり期待した。レアな作品。しかも軍隊コメディーとくれば面白くないハズがない!!
「史上最悪のボートレース・ウハウハザブーン」の興奮が再び蘇るか!!と思ったのに、いたずらシーンは終始冴えない花火のみ。今か今か、と期待しているうちに終わってしまった。大学のサークル後輩をかき集めて鑑賞会までスタンバイしたのに・・・。(バカ)
 「先輩・・・。これ、全然面白くないですよ。」
 「ちょっと待ってろ!今にすごい面白くなるはずだから!(汗)」
とやりとりしているうちに、つまらないおセンチを無理やり入れてみたり、ヒューマニズムを狙っているけどダメだね、無いほうがマシだね。とみんなで言ってたら本当に終わってしまった…。


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