映画レビュー「く」


<クイーン・コング>
 「コメディー映画史上最悪の駄作」と名高い、隠れた迷作。
やったぜ!そう聴いたなら、私がチェックしないわけがない。
ネットテレビの「ギャオ」で放映していたのをしっかり観たぞ。
 なんでも、「キングコングの監督がひどいパロディーっぷりに怒って、映画史の闇に葬られたフィルムを十数年ぶりに発見した」のだとか。
 内容は本当にくだらないぜ!あえて説明の必要もないでしょう。
そのコングを探しに行く探検隊のボスが女性なんだ。クイーンコングは、女性差別を批判する意味もあるそうだけど、まるで当てつけである。女ボスが若い男を拉致って、未開の孤島に行くのだ。しかも着ぐるみ感満点の女コングと恐竜の戦いも、金的で決着がつくという体たらく…。
 南海の孤島にも「観光ルートはこちら」とかふざけた看板がある。「名物コンガ・コーラ」なんて看板もあったっけ。実にえげつないパロディーで笑えない。

 しかしB級映画ならではの、「くだらなすぎて爆笑してしまったシーン」を一つだけ紹介しよう。コングのいる島へ近づくと、船に乗った3人の黒人女性原住民が揃って島におびえている。指をさして「コング・コング・コング」と連呼している。
 何か言ってるぞ。怯えているようだわ。と主人公たち。
原住民は「アワワワワァ〜!!」と叫んで、首が360度回転し、黄色いゲロをぶぶーっ!!と噴き出して、ザブーンと海に飛び込んでしまうのであった…。はぁ、くだらねぇぇ〜。。


<グーニーズ>
 さすがにキングコングの後に「グリズリー」なんか紹介してB級っぷりを騒ぐのは不謹慎かと思う…(笑)
まぁ、上の方で「クイーン・コング」なんていう最低の映画が紹介されてしまいましたが。。
 これはスピルバーグ初期の心温まる作品です。思えば、子供の頃に何度もこれを見たのが映画好きになったきっかけかな。私の冒険のイメージの原点は、いつもここにある。ウチにはファミコンソフトがあるもんね!
 父親(大人)の都合で近いうち引っ越すことになる少年マイキーが、友達と屋根裏部屋にあった宝の地図をもとに家を飛び出して海賊船の宝探しに冒険する物語。登場するのは沈没した海賊船や、刑務所から脱走したフラッテリー一家。こいつら人殺しまでやっている悪い人たちなのに何故か憎めない。
いつも故・淀川長治さんの解説をいつも思い出すのだけど、80年代のアメリカってなんだか人の心が残っていたのかなー。
マウンテンバイクで冒険に行くのは憧れであった。
カーチェイスを観て「すっげー!!」と叫ぶおデブちゃんが、手に持っていたカップのココアがすごいおいしそうなんだ。紙パックを握ると、ガラスにびちゃ!っと飛び散るんだけど、あれが妙に印象に残ってしまってね。青少年の心に影響を及ぼすシーン、とはこのことか…。
 シンディ・ローパーのテーマソングが本当に良い響きである。
続編の2が出るとか出ないとか、噂ばかり飛んだけれど私の知らないうちに、フラッテリー一家のお母ちゃんが亡くなっていたようだ…。悲しかったねぇ…。
なんだか、小さい頃によく遊んでもらったオバサンが亡くなったような喪失感だ…。
 いまDVDで安く手に入るので、是非ごらんくださいませ。

好きな映画は?「グーニーズ」!!となれば、誰もがみんな仲良しだ。


(あっ!そういえばウチにある昔のTV放送を録画したテープ。おデブちゃんの吹き替えが野沢雅子さんのやつだー!!これ重要です。大至急、友人に頼んでDVDに焼いてもらわなきゃ!!)


<グライド・イン・ブルー>
 「イージー・ライダー」みたいな映画。
60〜70年代のこういう冒険的な作品って、ニューシネマというらしいです。
今までタキシードを着て、直立不動で歌っていたのが良しとされていた時代に、突然プレスリーがやって来て腰を振っちゃったような潮流というか…。
 内容も「イージー・ライダー」みたいなロード・ゴーイング映画ですが、こちらは主人公が人のいい警察官なのです。田舎のポリスメンが、昇進を望んでる同僚と談笑したり、村の小さな事件を解決したりと、それなりに静かに生活している様子。
 ところがまだ解決したとは思えない事件がある。同僚の様子も何かおかしいと気づく主人公。あちらの警官はハーレー・ダヴィッドソンの「エレクトラ・グライド」っていう、ドでかいバイクを乗り回しています。そのグライドがあることで、人間の欲望と、それから起こる悲劇が展開されてしまうのです。

 ラストは、やはり「イージー・ライダー」のような悲劇的な終わり方。
主人公は警官だけど、あっけなく、マヌケに殺されてしまう。
でも、そのシーンはやっぱり衝撃的な映し方で、なんか悲しい…。
スローで映されていつまでもズームアウトされていくと、そこにはただ物言わぬ荒野が広がっているのだ。



<グラン・ブルー>
 スキューバ・ダイビングの伝説的人物、ジャック・マイヨールの物語を、リュック・ベッソン監督とジャン・レノの名コンビが演じる作品。
同監督の作品にしては、とても地味だがひょっとしたら「レオン」と並ぶ一番の名作である。ジャン・レノ演じる主人公は潜水にかけては天才ながら、一歩水の外に出ると赤ん坊のように頼りない存在である。そこが「レオン」と通じる部分であり、主人公の人間的な魅力になっている。
 最後は、生死に関わる深度数十mの潜水中にトラブルを起こしたライバルを助けるため、主人公は潜水したままイルカと共に違う世界へ旅立ってしまう。
だが、それは「生きた・死んだ」という境地からは、もはや超越した世界にいるのだと思う。

 スキューバ・ダイビングの経験者にお話しを伺ったところ、限りなく暗黒に近いブルー・ブラックの深海では、どちらが上とも下とも分からない世界なのだそうです。その状態で、全身もがいて暴れてみることは何ともいえない快感で、人生観にも影響を与える良い機会になるという。体験してみたいなぁ、グラン・ブルーの世界…。

 これは人知を超えた、深い、深い、グラン・ブルーの世界である。



<グリーンマイル>
 スティーブン・キング原作の不思議オカルト感動映画。
物語はある日、巨大な黒人男性が死刑囚の集まる刑務所にやってきたところから始まる。とても純粋な心を持つその男は、とても殺人事件を起こすような人間ではない、むしろ人体の悪いところを吸収して大気に放出してしまう超能力を持っていた。彼の優しさに次第に人間味を取り戻す囚人達、しかし刻々と死刑は執行されてゆく…。
 なぜその男は殺人罪を着せられたのか?また看守の中にも本当の悪人がいたりするが、皆の心がようやく彼によって開かれた頃にこの物語の終焉がやってくる。
原作はアチラの国の人なのに、霊魂というかスピリチュアル的な発想が東洋的だなと思った。
 看守はトム・ハンクスだ。
この映画は感動できる良い作品だ。とりあえず、映画を知らない人はこれを観ておけば話ができるから大丈夫。



<紅の豚>
 スタジオジブリで私が一番好きなアニメ。
ジブリ映画というと、ナウシカやラピュタやトトロが一番人気。
93年以降は、「よくわからない大人向け」の作品が続いて、97年頃から「もののけ姫」でちょっと人気復活。「千と千尋の神隠し」あたりから、宮崎監督はもういいよ…やっぱりナウシカが一番だよ。という(保守的な?)人も多い。
 だけれども、宮崎駿監督は「カリオストロの城」以外にも、ルパンV世のファースト・シーズンを手がけたり、海のトリトンをやっていたりと、大人向けの冒険アニメを作っていたのだゾ。

 さて、そんな宮崎ジブリ作品ではマイナーだけれど、最もダンディーで、本物の大人が楽しめるのは「紅の豚」さんだ。子供が見てもサッパリ分からないけれど、大人になっても観る年齢によって楽しみ方も変わるのがこの作品だ。地中海のアドリア海で活躍するポルコ・ロッソ、すなわち紅の豚は、賞金稼ぎの飛行機乗りだ。だけど悪い魔法にかかって豚の姿になっちゃったんだよ。
 古きよき時代、といいがたいこの世界は食い詰めた海賊ならぬ空賊がハバを利かせていたんだ。でも悪いやつらも、悪いやつなりに人生を謳歌しているのがステキなんだよ。本当の「悪党」ではないからね。子供をさらうのに「みんな連れていかねーと、さみしくてかわいそうじゃねーかぁ」ってやりとりがイカスぜ。
 大空へ向かう飛行機ロマンも宮崎さんならでは。こだわりのメカ描写である。
やっぱりレシプロエンジンはいいなぁ…。
徳大寺さんの著書のV12気筒エンジンのフェラーリをクランキングさせる描写をいつも思い出してしまう…。

私の中で名作の殿堂入りを果たした本作品は、マイナーさゆえに中古ビデオも少ない。でもジブリ作品は値下がりしないので、これなら新品を買っても良いナ、と思う。



<グレムリン>
 小さなSFXの特撮映画。チャイナタウンの怪しい雑貨店でモグアイと呼ばれる不思議な生物がいた。発明好きの父親からクリスマスに、と主人公の青年にプレゼントされたが、その生き物を飼うためには3つの決まりを守らなければいけなかった。1、光に弱いから当ててはいけない。2、水につけてはいけない。3、夜中の12時過ぎにエサを与えてはいけない…。
 この戒めを破ったとき、この生き物がパニックを引き起こす…。
ギズモと改名されてかわいがられたこのキャラクターは有名なので、誰もがぬいぐるみを見たことがあるハズ。
家の録画してあったビデオを観たら、なんと故・淀川長治さんが解説していた。何でも、この作品は監督が屋根裏にいたネズミをヒントに作成したそうな。
可愛いモンスターたちがクリスマスの街で大暴れをするぞー。

 それではみなさん、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ…。



<グレムリン2>
 前作の続編。騒動を起こしたギズモは、もとのおじいさんのところへ引き取られていたが、このお店には経営危機が訪れてしまう。やがて、科学者たちに差し押さえられてしまったギズモの遺伝子が悪用されて、危険な変種が生まれたり、またまた悪のグレムリンが再び繁殖してビルを乗っ取ったりと、コメディータッチのモンスター・パニック映画がまた始まる…。

個人的には、人語を喋るグレムリンと3流記者の単独取材が良かったな。
 「あなたたちの目的は何なのですか…」
 「それはね。文明だよ、文明!」 といって彼らがコーラスを歌いだす…。

前作でヒドイ目にあったディーグル夫妻が再び登場するなど、ファンには嬉しい演出も。
映画館で騒ぐモンスターに某人気プロレスラーが一喝するシーンも…(笑) いいなぁ、こういうシーン。


<クローサー>
 ナタリー・ポートマン出演の女4人が愛憎の中で離れてゆく同名作品もありますが、ここで紹介するのは米香港合作のB級アクション映画です。
 スー・チーと鈴木杏にちょっと似ている美女姉妹(のちに、このかわいい妹ちゃんは「小林サッカー」のヒロイン役・ヴィッキー・チャオと判明。いやはや私好み…笑)の掃除屋姉妹と、敏腕の女刑事が、華麗な足技を駆使して戦う「御美足全開!!」スーパーアクションだ。
 原題は「so close(近づいて)」もしくは「夕陽天使」。
もうね、役者の女の子はかわいいしサービスカット満点のすんばらしーぃ作品!!
 それだけでも存在意義のある映画。というか、それくらいしかないかもな。。(笑)
コンピュータ通信を駆使して警察の包囲網を盗聴しながらカーチェイスしたり、華麗な蹴り技&ガンアクション満載で、なかなか派手で見ごたえはある。
(ここでちゃっかり、クルマを奪うシーンで電話をしているエキストラが「おいっ!俺のクルマ〜!!」と叫ぶ私の大好きな定番シーンがあり、超個人的に評価できる。)
 でも、私が「こんなシーンが大好きなんだよぉぉぉっ!!」と言っても仕方ないので、ほどほどにしておく。。。例えば、冷たい雨にうたれて、恋人(男)がコンビニからホットドリンクを買ってくるシーン、「でもあれミネラルウォーターじゃね?」とか。。どんな仕事しているの?ときかれたところで、タイミング良くチンピラに襲われ、足技カンフーで撃退。銃を手にしたまま「これが仕事よ…」と言ってみたり。
さらに妹ちゃんがカーチェイスで逃げるシーンで、バックしながらバッキューンのジェスチャーで、画面の前で大爆笑してみたり。。。ツッコミどころ満載で楽しめる。
 美女姉妹の仲は睦まじく、暗殺者という裏家業を離れたプライベートの幸せ描写は「シュリ」に通じるものがある…かな?

 最後は仇のボスを倒すべくハイテク満載の高層ビルへ戦いに行くわけですが、ボスが日本人じゃないのに和室で日本刀を振り回していたりする。
いや、もしかしたら日本人かもしれないが、もぅメチャクチャな使い方だ。
でも、細かいツッコミ…とか偏見は忘れて、かわいい女の子に沢山の生傷がついてしまうけれど、まぁ映画だから。きっと大丈夫だよ、痛くないよ(ドキドキ…)。と自分に言い聞かせて「おみあし全開」のアクション娯楽を楽しむべし(笑)。
 やっぱりDVD買っちゃったー。うわ、バっカでぇーーー。

(サントラはコリン・メイが唄う美しい挿入歌の「Close to you」が収録されていないようだ。何ていう失態だ!!)


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