映画レビュー「も」


<燃えよドラゴン>
 
男の永遠のドラマ。アジアの俳優ブルース・リーが初めてハリウッドに認められた記念作品。ストーリーはカンフーの達人である主人公が、麻薬王が保有する島で開かれる武闘大会に潜入調査するというもの。
宿敵も様々な武道の達人が揃っていて手ごわいぞ!
そういえば武闘大会に出場するのは少年漫画ではお約束パターンだよね。
 主人公の妹を死に追いやった宿敵を、圧倒的なカンフーでKOするシーンでは、あまりの速さにビックリするぞ。ビュンビュン振り回すヌンチャクもすげーっ!!
最後のボスと戦うシーンでは、わき腹を鉄爪で裂かれて流血するのだが、それをペロリと舐めてまた「アチョー!」と闘うのだ。その仕草は絶対マネしてみたい。
 CGなしでも映像すごい。
鏡張りの部屋で敵がどこから襲ってくるかわからない恐怖、それを見切って蹴りが決まった瞬間のスローモーションなど、鏡に連続的に写し出されてこれまた「すげぇーっ!!」。


<モーターサイクル・ダイアリーズ>

 
チェ・ゲバラの青春記。
キューバの革命指導者として有名なチェ・ゲバラは、今でも一部の若者の間でカリスマ的な支持を得ていますが、その青春時代の手記を見事に映画化しました。
 裕福な家庭に育った医大生のゲバラは、親友のアルベルトと共におんぼろバイクに乗って、南米大陸縦断の旅に出ます。バイクは中古で故障してばかりの1939年式ノートン500。アルゼンチンから大雪のアンデス山脈を越えて、チリ、ペルー、マチュピチュ、クスコ、そしてアメリカへ。金もなく、泊まる当てもない、無鉄砲な冒険です。(計画があるに越したことはないかも知れないが、いつまでもウダウダ考えていたら行動できないと思いますネ。言い訳はいいから、さっさとやれヨ! ってくらいの勢いがなくては、私も海外旅行の一人旅はできなかったと思います…。)

 こういう無茶なことは若いうちしかできないといわれています。
それは何も大陸縦断旅行に限った事でなく、自分の意思で計画を立てて未知の世界へ飛び立つことです。極端に言えば、日帰りでも一泊二日でもいい。生涯を山登りに捧げた冒険家の植村直己さんが、石原慎太郎と対談の中で述べていたのですが、「山の大小に関わらず、それぞれが自分で計画して登ることが一番大きな山登りですよ」という内容が印象的でした。私は冒険の本質を言い得ていると思います。

 エルネスト・ゲバラは、この旅の中でハンセン病患者や、南米の貧困を目にして、強烈な体験を得たことがきっかけで、後に革命家になります。ラテンアメリカの裏社会を肌で実感したわけですね。
 旅に出れば何かがわかると思い込んで、自分探しの旅に出る人は多いと思いますが、決してそうとは限らない。結局のところ、多くの人はただの放浪人(フリーター)として20代を浪費するだろう。あるいは、海外を数カ国に渡って生活したという人に会っても、あまり面白くないというか、何も得るものがなさそうな人だったりする。むしろ、中には「俺は世界を見てきたんだぜ!」的な陶酔に浸っている者もいたりする。こういうとすぐ過剰に反応する人がいるけれど、別に日本の留学生をバッシングしているわけでありません。
 ただ私を取り巻く社会や、人間を観察して、常に自分の心の中にある疑問を問うているのです。だから、帰国しても結局日本でうまくやっていけない人とか、そういう人の人生観とか葛藤とか、それを見て自分の人生はどうやって決めようかと考えるわけです。

 さぁ、青年二人のバイクの旅。
自分も一緒に旅しているつもりになって、観てみませんか?
そうそう、あんな風にバイクでひっくり返ると痛いんだよ、これが!(泣)
 ロード・ゴーイング・ムービーは、いつ観ても新鮮だ。


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