映画レビュー「ら」


<羅生門>
 黒澤明が、カンヌだかベルリンで世界に注目されるようになった作品です。(ヴェネチアだ!!)
羅生門は芥川龍之介の文学作品ですが、これは芥川の「藪の中」が原作となっています。どういうお話かというと、ドシャ降りの羅生門の下で男が三人、ある殺人事件の内容について回想しているところです。だけれど、事件の関係者の供述内容が三者三様でまったくかみ合わない。交霊術師まで登場しても何だか違うことを叫んでいる。もぅ誰が正しいんだか、どんな人間を信用したらいいのかワケワカランよー、ってお話でした。見ている方もワケがわからんので「うへぇ〜…」としか言えない。でも映像はすごい力強さはある。
 デーモン小暮閣下は、ある番組で初めて観た映画は「羅生門」だけど、さっぱりわからなかった!(笑)とおっしゃってました。私も、そうそう!と思わず笑ってしまいましたが…。でも芥川の原作も読んでいたので、私は何となくメッセージ性が理解できましたね。映画のラストにもあるように、不透明な社会の中で「それでも人間を信じてみよう」という事だと思いました。



<ラストアクション・ヒーロー>
 シュワちゃんがイケイケだった頃の作品。ある映画好きの少年が、映画館のおじいさんから魔法のチケットをプレゼントされることから、映画の世界へ入ることが出来るようになるという、ちょっと「ネバーエンディング・ストーリー」みたいなファンタジー。だけど面白いのは、何かの手違いで映画の中のシュワちゃんや悪役が、現実の世界に飛び出してきてしまったところから始まります。
 映画の中では無敵のシュワちゃん。
製作スタッフも楽しんで作ってたのでしょうが、映画の矛盾点をバンバン突っ込んでいます。例えば、シュワちゃんが「いいか坊や、大爆発を見せてやる…」と逃走する悪役のクルマを狙ってピストルを発射しますが、実際はパチン!パチンッ!と弾けるだけです。「なんで爆発しないんだ!」「当たり前だよ、現実の世界だもの」というやりとりが笑えます。
怪我をすれば「なんで痛いんだ…」となりますし、悪役も「現実の世界じゃ、正義が勝つほど甘くないんだぜ。ハッハッハ!」という、笑うにも笑いづらいテーマがあります。だけれど、最後までアクション娯楽作品として楽しめる展開です。
 私が好きなのは、悪役を追いかける乗り物がなくて途方に暮れているところを、映画の世界の娘がすかさず「パパ、偶然通りがかったの。これを使って」と登場するシーン。映画ってタイミング良くて笑えます。

さらに関係ないけれど、私はどの映画でも「娘がさらわれたんだ!」と勝手に人の乗り物をパクって行くシュワちゃんが大好きです。
それから、「オイ!俺のクルマー!!」と叫ぶエキストラも。。
(こういうエキストラは大抵、誰かと電話していたりするんですよネ・・・)



<ラストサムライ>

 トム・クルーズ主演の外国人が描いた日本のサムライ映画。とてもよく出来た作品で、日本人以上に日本の誇り、つまり武士道が描かれています。私など涙を流さんばかりに感激しました。日本の俳優で渡辺謙が主演男優賞を受賞しましたが、その演技も素晴らしく、役所広司と並んで「ハリウッド進出」に成功したと言えるでしょう。あ、小雪も女優として魅力がありました。
 就職活動の際に、これまでどんな映画に感激したか聞かれました。
私は沢山の映画を観てきたから、結構この手の質問に迷ってしまうのですが、この際悩んでいる暇はない!すかさず「ラストサムライです!」と答えました。
その理由は、かつてこの国には質素な生活をしながらも、勤勉で誇り高い人々が存在したのだという事実を改めて実感したからです。というように答えたと記憶しています。新書の『国家の品格』と合わせて堪能したい作品です。
私たちのご先祖様には、確かにサムライがいたことを誇りに思っていたいではありませんか。



<ランボー>
 ご存知、アクションスター・ランボーの第一作です。
男なら誰もが「ランボーナイフ」に憧れましたね。007の秘密兵器が満載のアタッシェケースにも。このランボーが「お守りなんだ」という大型のサバイバルナイフは、グリップの底がキャップになっていて、中身にマッチや縫い糸やらが収納されています。実際に、洞窟の中に閉じ込められたランボーが暗闇の中で火を起し、脱出してしまうシーンにすっげー!と興奮しながら見入ってしまいました。
 ストーリーはかつて英雄として讃えられたベトナム帰還兵の悲劇です。「イージー・ライダー」にも示されていたような、アメリカという国の排他性から起る悲劇があります。祖国の為に戦ったベトナム戦争の帰還兵が国へ帰ると、そこでは英雄として扱われず、むしろ「人殺し」だの何だのと日の目を見ない状況にあったのです。
ランボーも心の傷を抱えて放浪していたところを、悪質な保安官によって制裁されてしまいます。つまり司法の力によって罪人という立場に追いやられてしまうわけです。そこで男の怒りは爆発しちゃった!!
 なんでも、この映画の撮影にあたっては、すべてのスタッフが何らかの怪我を負ったというからビックリだ。追い詰められたネズミは猫に向かってゆく、と言いますね。相手は小さな存在かも知れないが、かなり手ごわい奴でした。。
 M60機関銃を乱射して、もはや誰にも止められないランボー。街はもはや廃墟寸前。
   「うおぉぉぉーーーっ!!」 ダダダダダダーンッ!!!!
   「やめるんだ!ランボー!!」
と、登場するかつての特殊部隊の上官だったトラウトマン大佐が好き。


<ランボー2>
 続編のタイトルは、ランボー2怒りの脱出。
脚本は「エイリアン2」や「ターミネーター2」のジェームズ・キャメロンだ。
アクションは変わらず冴えてますが、死んだフリして突然ロケットランチャーをブッ放すのはヒドイ気もする。(笑)
 今回もランボーならではのサバイバル・アクション(…というフレーズは久しぶりに聞いたなぁ)が見られるゾ。いつ観てもビックリするのは、追っ手がランボーを見失い戻った背後の、泥壁に隠れていたランボーの餌食になっちゃうシーン。泥壁に2つの眼が開いた瞬間、ギョッ!!とするね。
それから、草原の中に逃げ込んだランボーを追い詰めた敵の集団が、血痕を見つけてジワジワと迫ってくる…。よし、追い詰めたと思ったらそれはニワトリの血で、しまった!!と罠に気づいたらもう火の海。なんてね。
 そうそう、肝心のストーリーはこうです。ベトナム戦争が終結しても、まだアフガンには捕虜がいるという情報がある。前作のあと捕まっちゃったトラウトマン大佐を釈放してやる代わりに、ちょっと潜入して確かめてこい。ただしドンパチしちゃダメだよ。っていうお話。
ところが、捕虜を見つけて脱出しようとするけれど、置いてけぼりにされちゃって怒りの脱出というお話。も〜大変。(笑)
 戦場にもヒロインは登場するのですが、娼婦に変装して敵アジトに侵入するのは勇ましいけれど、どう見てもキョンシーみたいで、メイクって大変だね。と思ってしまいました。どうか願わくは、そのままの格好で死なないで欲しいです。。悲しいから。


<ランボー3>
 シリーズ3作目のサブタイトルは、怒りのアフガン!
いやー、また怒りの入っちゃってるタイトルです。怒りのアフガニスタンじゃないよ、アフガンだよ。でもアフガンってどこか気になって調べてみたら、タイのバンコクみたいです。でも何でそんな舞台なのかというと、シリーズ2作も通じてすっかり傷心のランボーが心を癒そうと隠遁生活をしていたのです。
ところが、共産主義国のソ連が進行してきたり(劇場公開の直前にソ連は撤退)、なんとトラウトマン大佐が拉致されてしまったりと踏んだり蹴ったりです。
今度こそ本気でブチ切れちゃうわけで、前作よりデカいナイフをギラギラ研いじゃったりして危ないです。前作にも登場した爆弾つきのボウ・ガンやら、スティンガーミサイルやら、戦闘ヘリvs装甲車などなど。戦争兵器のオン・パレードです。
 敵地への侵入は、またすごい。
敵の戦車にもぐりこみ、その下にへばりついて侵入しちゃうのにはド肝抜かれました。またもや「えぇぇーー!?」と声が出てしまいました。

しかしながら、ランボーに関わると舞台になった世界まで変化が起こるから油断できない。スタッフに怪我人は出るし、ソ連まで動いてしまったし。
今度の最新作4では、チベット問題が出てくるようだからこれも危ない。。。


<ラン・ローラ・ラン>
 ドイツのちょっと哲学的な映画。
もしかしたら、映画を観る人には有名な作品かもしれませんが、まぁB級映画に認定してしまったら失礼でしょうか。これは不良娘のローラの、ヤクの売人の恋人が、ボスの大事なブツ(大金)を無くしたところから始まります。
「夕方までにあれがないと殺される!ローラ、早く助けてくれ!」という電話を受けて、ジャーマン・テクノの音楽開始と同時に恋人の命を救うため走り続けるという設定です。
 ほんのわずかな時間差と選択によって、人生がどう変わってしまうかというテーマなのですが、その見せ方は上手に3通りくらい再現されています。このレビューを書くために考えていると、なかなか面白い作品だナと思えるのですが、何度も気軽に観る作品ではないので、私はビデオを売ろうとしたことがあります。レンタル屋から流れた格安中古ビデオから、結局売れませんでしたけど。。
 この作品を知ったのは何かの映画の冒頭宣伝でしたけれど、そのときは早口で話すドイツ語と「早くしないと殺される!」という字幕が面白くて、かなり期待してしまいました。


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