映画レビュー「れ」


<冷静と情熱のあいだ>
 大好きな作品です。中古だけど、限定版のDVDを買いました。同名小説もひと昔ずいぶんヒットしましたが、私はもっぱら映画の方を観ます。
竹之内豊と、我らがケリー・チャンの素敵なラブ・ストーリーです。
イタリアのフィレンツェを舞台に年月を越えて邂逅(めぐりあい)がありますぞ。
この世界観が大好きで、私は部屋のTVで今日は何の映画を流そうかと思っているとき、この作品は手に取ることが多いです。また、石畳の町をスクーターが走っている場面がとてもオシャレに感じられて、ああ僕はいつもこのイメージでバイクに乗りたいナ…。と思っています。
実際はマナーの悪い車が多くて世の中を嘆いている事もしばしばですが…。

 説明はこの辺りでよろしいかな、と。私があまり多くの言葉を用いても、この美しい世界観は思うように表現できないと思うのです。そこは、男の視線と女の視線から描かれている2冊の小説にお任せしたいと思います。
正直、はじめは最近よくある薄っぺらな恋愛映画だと思っていたのですが、いやいや、原作者の江國香織さんと辻仁成さんの世界が素敵な映画に昇華したと思いました。素敵な恋愛映画です。


<レオン>
 これはもう、誰もが好きなハードボイルドの傑作映画でしょう。
リュック・ベッソン監督と主演ジャン・レノのコンビを大スターにした作品です。
また、家族を殺された少女マチルダ役を演じるナタリー・ポートマンも、すっかり大女優になりました。最近の作品『V・フォー・ヴェンデッタ』の中でも、迫害に遭っても強く生きる女の姿を演じました。悪役のゲイリー・オールドマンは渋いですねぇ。『フィフス・エレメント』でも同じようにキレた悪役を演じてくれました。

 この作品は、悪徳な麻薬捜査官スタンフィールドに家族を殺された少女マチルダが、孤独な殺し屋レオンと出会い、やがて愛を思い出して心を通わせてゆく物語です。リュックベッソン監督作品では、これ以前に『二キータ』がありますから、心に重くのしかかる悲しい暗殺者の姿を、もう一度見たい方におすすめです。リメイク版と二つあります。
 また『レオン』の前身、つまりヒントになった映画は『グロリア』という作品が、これも新旧と二つありますので、ハードボイルドを探している方は観てみてください。

 レオンの冒頭、大都会のビルがジャングルのようにそびえていて、中に入っていくと迷宮のような錯覚に陥る。この感じをアラビア風のささやきで音楽に表現しているのは、エリック・セラです。悪役のボス、スタンフィールドが登場するシーンではライオンのような猛獣が出てきたような凄みがあって、マチルダとのささやかな家庭でのシーン、また全体を通して哀愁感の漂うメロディーをサントラで聴くことができます。おすすめです。最後に流れるスティングの悲しい歌は、いつも曲名を忘れてしまいます…気になる人は調べてみてね。

 最後に、TVの吹き替えとDVDで一部異なるところがありましたが、どちらも楽しめました。個人的にはTVの吹き替えのスタンフィールドがフランクな感じで好きなのですが、
DVDの吹き替えスタンには凄みがあります。


<レッド・ドラゴン>
 あの『羊たちの沈黙』のレクター博士の三作目です。
シリーズの時系列的には、レクター博士がクラリスと出会う直前までのお話です。相変わらずの猟奇的ぶりと高度な美意識が存分に発揮されております。
まず、冒頭のシーン。オーケストラの演奏の中に、ヘタなオーボエ奏者がいて、こいつが耳障りです。それを聴衆の中にいたレクターがにらみつけている。
やがてオーボエ奏者が行方不明になったね、という噂が広まっている頃、レクターの屋敷で食事会があって「この料理は何ですか?」というと、「それを聴いたら手が止まるでしょう」とレクター博士。ギャー!!みんな笑ってるけど、誰も人肉だって気づいてないよ〜!!

 ・・・・・・。

 さて、ストーリーは、かつてレクター博士を猟奇殺人犯と見破り、瀕死の重傷を負いながら逮捕した刑事が主人公です。ただ、刑事は心身ともに重症を追って療養していたのですが、巷でまた猟奇殺人事件が起きたので、危険を承知しながらも獄中にいる天才的な精神医学者であるレクター博士に協力をあおぎ、犯人を追跡しようとします。
 ところが、犯人も異常な精神だから、レクター博士を崇拝している。
獄中のレクターと、こっそり暗号を隠したファンレターのやりとりなんかしている。で、レクターの暗号をもとに犯行が行われたりするのを、刑事も頭をフル回転させて防ごうとする。やがて神話のレッド・ドラゴンを崇拝するあまり、かなりキちゃっている犯人を追い詰めていきます。最後までハラハラドキドキ。
 終わり方もいいですね。FBIから女性捜査官が来ています。
「名前は?」
って、もうおわかりですね。ハイ。


映画レビューへ戻る

55 STREET / 0574 W.S.R / STRAWBERRY7 / アレコレネット / モノショップ / ミツケルドット