映画レビュー「ろ」


<ローマの休日>
 もう映画史に残る大傑作ですね。大好きです。
オードリー・ヘップバーンといえば、やはり『ローマの休日』でしょう。
彼女を妖精っていうのは本当ですよ。僕は映画の話題が出たら、女の子には、やっぱり『ローマの休日』が好きって言ってほしいです。間違えても『セ○クスと嘘とビデオテープ』とか言ってほしくない。(笑)
 この作品は、オードリーの人気の特徴でもあるけれど、老若男女だれがみても楽しめるんですね。いま書店のレジ脇とかに、500円のワンコインDVDが置いてありますよね。古典的な名作がズラリと。そしたら、試しに『ローマの休日』と『カサブランカ』を手にとってレジへGO!ですよ。きっと、プライス以上の感激が待っているはず。

 ではストーリーはというと。
ある小国の王女様がローマに滞在したところで、多忙な式典などこなしているうちに心身共に疲れきってしまいます。「こんな退屈な生活もうイヤ!」って夜中にお酒を飲んで抜け出してしまいます。すると、しがない新聞記者の男が泥酔している女の子を見つけて困りながらも介抱してくれますが、じつはその正体がアン王女だと気づいたのは、翌朝になってからでした…。王女も目覚めてビックリしたけど、自分の正体を隠してローマの街を思う存分に楽しみたいといいます。
 一方、お城の中では大騒ぎ。王女がいなくなったと公表はできず、新聞には体調不良と記事にさせました。髪をカットして、ローマの町をいろいろ楽しんでいたのですが、記者の仲間もアレ?まさか…!と気づきはじめます。
こりゃあひょっとして大スクープのチャンスかも知れないと、男も自分の職業を隠してデートしていると、側近の者たちが追っ手となって大騒ぎ。
 最後はどうなるか、まだ見ていない人は500円持って書店へGOだ!
とっても美しい終わり方です。

 余談ですが、最近ローマの休日でアン王女がアイスを食べたあの広場が、飲食禁止になったんです…。ゴミ問題とかあるらしいのだけれど、それじゃあローマに行ったらどこでアイスを食えというのか!!
 このままだと後味が悪いのでバイクの話をしようか。広場で目を離した隙に、アン王女が勝手に乗り回して暴走するあのマシン。石畳の町並みを二人乗りでクルーズしたあのバイク。ベスパという有名なスクーターの初期型です。フェンダーにライトのついたやつ。
 あれと同じ年式(60年代初頭?)のベスパを、わざわざイタリアから輸送して乗っているオジサンを何人か知っています。(笑)私のバイクは、カブラといいますがイメージはあんな感じです。近々ロングシートに交換して、女の子を乗せてみたいな〜と考えています。


<ロボコップ>
 今は故人になられたポール・バーホーベン監督の代表作は、やっぱり『ロボコップ』じゃないかなぁ。バーホーベンの名を知らなくても、みんなロボコップといえばわかると思う。キューブリックみたいに、晩年まで精力的に問題作を発表し続けた監督だと僕は思う。みんな覚えておいてね。
 さて、このロボコップはちょっと悲しい。アメコミのSFヒーローとして活躍するだけじゃなくて、生身の人間だった刑事を機械の身体で蘇らせるわけだから。科学の成果といえば聞こえはいいけど、宗教的にも、倫理的にもタブーが入ってくるよね。もちろん、無敵のロボになって悪党のはびこる社会で活躍するんだけど、人間だった頃の記憶を脳が呼び覚ますシーンが出てくる。悪党に虫ケラみたいになぶり殺しにされたり、息子と西部劇のガンマン遊びをしていた映像がフラッシュバックする。やがて感情に揺れ動いて、迷走するうちに国家権力の仲間たちさえ仕方なくこのロボを銃撃する。こういうシーンがあるたびに、生々しいリンチを加えるのが、バーホーベン監督なんだ。大人になって観ると、ちょっとウゲェ…となるね。
 監督はスピルバーグと同様に、少年時代を戦時中のヨーロッパで過ごしており、本物の戦争を目にしている。だから子供の目には当時ただ「スゲー!」としか映らなかったかもしれないが、その影響は計り知れない。彼がユダヤ人だったかは知らないが、悲惨な体験から彼の暴力的な描写は生まれたと思っている。

 さて、でも最後までピンチを乗り越えたロボコップの活躍は期待できるから、シリーズを通してみてください。あのデカイ銃はM93Rといって、エアガンにもなってますよ〜。


<ロボコップ2>
 シリーズの続編です。今度はモビルスーツみたいな、さらに強力な武装を誇る人工知能ロボの登場です。人工知能の分野は、まだSF小説の世界まで到達していませんが、その理由は『2001年宇宙の旅』のレビューで書いたように、コンピュータの登場する時代からその概念を織り込まなかった、というのが大きな理由みたいです。この分野は大学の先生におまかせしましょ。
 で、この警察ロボの成果を試そうとして、「ちょっと、銃を向けてみ。」とそそのかされたオッサンが銃口を向けると、きちんと識別されて「銃ヲ捨テロ…」と音声が流れる。だけど「10,9,8,7…」とカウントされて男が銃を捨てても、機械はアナウンスを止めない。あれ、あれ!?という間に「ゼロ。」 …射殺されてしまう。これは機械の事故なんだけど、何か象徴的なシーンであるというのは、深読みしすぎだろうか。どっちにせよ、印象的なシーンである。
 階段で転倒して、赤ん坊のように転げまわる巨大なロボも。
(そういえば、あの武装ロボはコマ撮りなんですね。記憶が正しければ、初代ターミネーターもこれも日本のコマ撮り職人さんが担当しているハズですよ。)

 今回もメチャメチャにやられながら、それを克服して敵を追い詰めていくのですが、あの溶液のタンクに車で突っ込んでドロドロになった人間を、車がグシャァッ!!と潰してワイパーでキュキュキューっとやるシーン。あれは2だっけ、1だっけ?
 あのシーンは誰もが忘れられないと思うんですが、最近はTVで放映すると、その度にあのシーンがだんだんカットされていくようです。。そりゃまぁ…TVじゃ仕方ないかなぁと思う反面、ああいうのも見せていいんじゃないかと思う気もするなぁ…。戦争報道や事故の映像なんか、グロもあるけどそれが本当じゃん。例えが悪いんですが、死体の映らない戦争報道ですよ。絶対事故で死にたくないなと思うのは、そのナマ画像ですよ。そのうち、『ほたるの墓』の焼け跡のスクロール映像で、たしかに一瞬だけ見える、指のちぎれた黒い足、ああいうのも映る寸前でカットされるんだろうか。そりゃ子供も見るよ。俺も見ちゃってたし。。
 他にも『GIジェーン』でデミ・ムーアが「俺のを、しゃぶれ〜!」と叫ぶ一番盛り上がるシーンのセリフが、TVでは「てめぇ、なめるんじゃねぇ!!」になるのは仕方ないのかな?これは深刻な女性差別とか、セクシャルな内容の話題作だから、どーだろ。彼女、妊娠しながら撮影したんですよね。だからオリジナルを尊重したいけれど、判断基準って難しいです。

 まぁ、このシーンを見せることで心に何が残るんだ。っていえばトラウマかもしれないけど、特殊効果を使ってまで撮影したシーンだから何か意味やこだわりがあるんじゃないかと。心に残るのは確かだけど。 私はバーホーベンが「暴力への嫌悪感を植えつけたかった」んだと思うな。 はぁ〜…なんか幼稚園のとき見た『はだしのゲン』のリアルな絵本を思い出したワ…。あれはトラウマ。。N先生の「これは本当にあったお話です。」って言葉をはっきり覚えてるぜ…。当時遊んでた「ロックマン3」の最終ステージの暗い音楽と一緒に、ハッキリと蘇るんだよなぁ…。もぅ夜トイレにいけないワ。(泣)



<ロボコップ3>
 シリーズ最後かな?もう最後でいいよ。(笑)今度の敵は日本企業です!
アメリカって、人種とか国土とかそりゃーたくさんあるわけで、それを統一するにはやはり「共通の敵」をいつも作るわけですよ。ひと昔前は、共産主義。冷戦崩壊後は、アメリカ経済を脅かす日本製品という時代があったんですね。社会の教科書にも「貿易摩擦」って言葉教わりましたよね。今もそうかもしれないけど。
つい最近も中国で反日デモがありましたが、そろそろ中国も共通の敵を作り始めたということは、共産主義社会にインターネットとか資本経済が流れてきた歪みが生じてきたのかもしれません。
(もちろん、留学しに来る彼らには親日家も多いし、それなりの教育を受けてきた人は、感情論に走ったりはしません。怖いのは、世論操作で踊る人たちで、その絶対数が多ければ、文化大革命のような事態にもなり得るということです。熱気に包まれた群衆には、すべて気をつけて関わらないといけないですね。)

 で、その当時の世相をよーく反映しているのが、この作品です。
世界有数のマンハッタンを当時、日本企業にみんな乗っ取られたという危機。ま、バブルが崩壊して日本企業は結局みんな撤退しましたけど、これからはうかつに戦争もできないし、仮想敵を地球の外へ向けたのが、『インデペンデンス・デイ』とか『宇宙戦争』もの。あとは、「羊たちの沈黙」みたいなサイコ・スリラー系の登場へつながるわけか。
 で、近年のハリウッドでは、シュワちゃん主演の『トゥルー・ライズ』でイスラム原理主義を敵にしているな〜と思ったら、9.11テロですよ。俺はヒコーキが突っ込んだと知った瞬間、すぐにコレだ!と思ったな。案の定、タリバンでした。 そしてアメリカがやることといえば世論を煽ってイラク戦争。どうにもならなくなったら、撤退の繰り返し。「あの戦争は何だったのか?」ってまたプラトーンみたいな映画も出る。

 話逸れまくったけど、ロボコップ3は最後に、布袋寅泰みたいなニンジャ・ロボが出てくるんですよね。俊敏なニンジャに苦戦しながらも、最後まできちんと活躍してくれますからご安心を。3はよく覚えてないけれど、あまりグロは無かったような気がします。ロケットで脱出とは映画『タクシー』シリーズみたいな新兵器ですね。でも核兵器はよくないよ。


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