映画レビュー「さ」


<サイドカーに犬>
 竹内結子さんの久しぶりの主演作、はじめはB級の予感がしていたけれど私はこの映画の世界が大好きです。ちょっと昔の日本の、「Allways 3丁目の夕日」ほど古くないけれど、昭和の後期に生まれた私の世代が知っている空気感がある。ノスタルジィ。
 いまは不動産会社に勤めているミムラさんが、弟から結婚式の案内が届いて、自分の子供時代を思い出すというもの。人は良いがヤグザな仕事をしていてうだつのあがらない父親と、その愛人とてやってきた陽子さんという女性。いつもあっけらかんとして自転車を乗り回し、タバコも吸う、子供のようないたずらもするし、時には涙も見せる、子供の自分を一人の人間として尊敬までしてくれる大人の女性。太陽の陽に、子供の子の字で陽子さんだ。
 「自転車乗れないの? 乗れたら人生、変わっちゃうよ…?」
このあたりのシーンが大好きだ。子供にとって世界を広げてくれるのは、バイクじゃなくて自転車なのだ。いやー自分が自転車を乗れなかった頃を思い出すねぇ。

 やがて家庭の揉め事がいろいろあって、自分の夏は陽子さんと二人で海へ行くことになった。愛人からすれば、人質を連れての逃避行である。そんな子供時代の夏も終わり、陽子さんの居場所もいつの間にかわからなくなった。社会人になってドッチラケな日々を送っている自分も、このミムラさん演じる女の子につい自分を投影して観てしまう。
 自分はこの女の子のように、どこか冷めた目で世の中を見ているが、その中身はまるで陽子さんに似ているかも知れない。


<サウスパーク劇場版>
 全米のPTAから抗議殺到、放送禁止にしろと大騒ぎになったのがこのアニメだ。R-15禁指定です。
切り絵のようなかわいいキャラクターたちが、シュールで下品な発禁用語を連発している。通常版は「ピー」音の連発だが、私の観た劇場版は「無修正版」だから露骨にピーッな言葉が炸裂しているし、エロ・グロ表現もモザイク無しだ(笑)。
 ストーリーは下品なお笑いコンビが、カナダをネタにお下劣コントを披露したせいで、カナダとアメリカの全面戦争が勃発してしまう危機に直面してしまうのだ。それを防ごうと立ち上がるのは、お下劣小学生たちである。
主人公は好きな子の前では吐いてしまうシャイなユダヤ人、スタン。いつもフードを被ってモゴモゴと何いってるかわからないけど、いつも絶対死ぬケニー。サッカーボールがわりに赤ん坊をキックするカイル。宇宙人に拉致され発信機を○○に突っ込まれ悶絶したデブ、カートマン。などなどグーニーズも真っ青だ。

 音楽性はなかなか良いのだが、絶対に子供には見せられない作品…。
ちなみに好きなシーンは、冒頭のホー○レスを買収してチケット買わせてR15禁の映画をみんなで観るシーン、ドイツ人のビデオに出演した母ちゃんに洗面器が出てきてビックリ仰天なシーン、終盤の電気椅子が止まってしまい「おのれ、ウインドウズ98!!ゲイツを呼べ!!」とゲイツが呼ばれて銃殺されてしまうシーン…。どうしようもないねぇ(笑)。

 いつも猥談で盛り上がっている工場のおっちゃん達に「これ、観てみ。」と手渡したら、あまりに露骨すぎて笑えなかったよ…とのこと。じつは私もそうだったのだが、暇なときにBGM変わりに流したら抗体ができたのか、不覚にも爆笑してしまった…。


<さくらん>
 安野モヨ子原作の花魁(おいらん)ストーリー。幼い頃に身売りされた花魁が、トップの花魁に挑発されてその世界で下克上していくというもの。椎名林檎の歌が終始流れている印象が強いせいか、ちと食傷ぎみになってしまった。
 監督は女性だ、日本でいうところのソフィア・コッポラにはなれるか?
金魚の水槽や、花形が通りに出てきたときのどよめきなど、独特の映像美は随所に見受けられるが、私はもういいや…。ちょっと露骨というか何というか。
きせるは横になったまま吸えるので便利だということはわかった。


<座頭市>

 平成の北野版。すっかり世界のキタノになってから、外国受けを意識したのが時代劇をエンターテイメントとして提供してくれました。殺陣のシーンも北野監督が即興で指導したようですが、頭の回転に役者がついていくのが精一杯だとか。
気になる侍の病弱な妻役として、夏川ゆいさんが登場。この映画の後、乳ガンをテーマにしたドラマに出たがそれからどうなったのだろう。人気が出るといいなぁ…と思っていた矢先に、阿部寛さんが主演のドラマ「結婚できない男」にレギュラー出演していて嬉しかった。個人的に主人公と自分が似ているような気がして、彼女と結婚できるのかハラハラしながら楽しんでいましたよ。(笑)
でも夏川さんは、映画では死ぬ役が多いようです。もちろん、座頭市でも死亡…。ぶしゅっ。



<ザ・ロック>
 ニコラス・ケイジと老アラン・ドロンが主演だっけな。
絶対に脱出不可能な監獄の要塞「ザ・ロック」から脱走したプロの泥棒が、刑期を軽くするかわりに刑事と共に細菌兵器によるテロを阻止するというあらすじ。
最後のカウントダウンに間に合わず、両手に発炎筒を持った主役の頭上を戦闘機が飛んでゆくシーンが有名。ありゃカッチョイイ。
そういや、この監獄島ってパピヨンの「アルカトラズ島」だっけ?


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