映画レビュー「し」


<シーナ>
 これはB級?ターザンの金髪美人版みたいな映画。
一応未開の部族に育てられたので人間の言葉はOK。もちろんイングリッシュだ。悪い人に捕まったりしてピンチになると、動物さん達が助けに来てくれるファンタジー。で、お約束通り人間の青年と恋に落ちる。
 突然のキスに驚きのリアクション、青年がどうしたの?と聞くと「人間の男は突然奪うと聞かされたわ」とか、望遠鏡を見て「悪魔の力に違いないわ」とか世間ズレした言動がそれっぽくてイイ…。
で、トドメは不思議な力を秘めた美人に「一体君の名は…?」と驚く青年に対し、「あたしはシーナ」というセリフ。…椎名?
 いやいや、つまらない冗談だと思う前に、沖縄の人にも椎名という苗字があるみたいだが、やはりこれは外国から由来している名前なのかナと私は推察してみたりする。世界中に古代のナスカとかアスカっていうような名前があるようにね。「月刊ムー」みたいな内容だけど(笑)。
 話しは反れたが、皆さんはどう思います?


<Gガール 破壊的な彼女>
 女版スーパーマンである。ヒロイン役のユマ・サーマンの魅力がたっぷり詰まっているぞ。
これまで「ガタカ」や「キル・ビル」で見た彼女よりも、セクシーで表情も豊かだ。
普段は地味な彼女だけど、じつは非常事態が起こる変身して消火活動をしたり、ジェット機を救ったりするGガールだ。恋人と別れたばかりで落ち込んでいた建築会社マンと恋に落ちるのだが、じつは彼女は精力絶大で殺人的に嫉妬深かったのだ。主人公の同僚の女に嫉妬の炎を燃やしまくって、クルマを空へ放り投げたり、人食いザメを放り込んだりするのだ。これにはたまったものじゃない。
 そこへ過去の因縁からGガールのパワーを狙う男が現れて、すったもんだが巻き起こるのだ。同僚の彼女や主人公の親友も良いキャラしていて、なかなか面白かった。



<地獄の黙示録>
 フランシス・F・コッポラ監督のベトナム戦争映画。もはやカルト的作品。
伝説的英雄と呼ばれた大佐が、なぜか未開のジャングル奥深くにこもり消息を絶った。その行方を探るために少数部隊が敵の攻撃に苦戦しながら川を上って行く…。とても難解な作品で、大幅にカットされていたシーンを復活させた完全版も発表されたが、それでもイマイチよくわからない映画である。立花隆さんが「解説 地獄の黙示録」という本まで出したくらい難解だといえば、大体の難しさがわかってもらえるだろう。
 途中、フランス領の富豪の屋敷に招待されるが、そこで共産主義がどーのこーの、アメリカの介入がどーのこーのと言っていた記憶があるが、この頃の私には理解不能であった。今ならわかるかもしれない。

 序盤にワーグナーの「ワルキューレの騎行」を大音量で流しながら、戦闘ヘリでナパーム爆撃を行うシーンがある。ベトコンに従軍記者として参加した作家の開口健 先生は、執筆の前に「ワルキューレ」を流して士気を高めたらしいが、この作品はワルキューレを実際に映像にしてしまったのでコントのようだと爆笑したらしい。
私も不謹慎ながらこのシーンが好きだ。空爆の理由もステキで「サーフィンの邪魔だから」とナパームで石器時代に戻してやれ!というものである。

 よくわからない映画だが、「羅生門」と同じように、カルト的だが大作っぽく感じてしまうあたりが悔しい。


<J.S.A>
 韓国映画。一言でいえば「ちょっとした事件」。で、4人くらい死亡。(笑)
JSAとは、なんとかかんとかエリア(名前忘れた…)の略で、要するに北緯38度にある南北の国境地帯のことです。そこで起きた不可解な殺人事件には、南北の国境警備兵が4人ほど関与していて、何人か死んでいるし生き残った者も口を割らない。尋問して追い詰めると自殺未遂までしてしまう。 そこで何があったのが探るために、スイスから帰国した美女将校が事件を調査するという物語。事件の裏には兵士たちの友情がありましたとさ。

 それはそうと、あの傑作「シュリ」を超えた何万人動員、とかいう最近の韓国映画のCMはいただけないね。映画観る人が増えただけでしょ。


<史上最悪のボートレース・ウハウハザブーン>
 これは良い!爆笑必至。DVD出たら買うぞ!
ここ数年、夏休みになるとテレビ東京の午後のロードショーでやっている。私はそれに終始笑いっぱなしであった。
 アメリカのバカでどうしようもない落ちこぼれの学生が、大学の名誉の危機に際してボートレースで優勝すれば落第を免除してやる、という条件を出される。しかも、優勝すれば単位の修得も認めるというのだ。ここまではお約束な展開。
 しかし登場人物か皆良いキャラをしている。セリフも皆クレイジーで、これぞアメリカン・コメディー映画の醍醐味である。ライバルのエリート校選手はお約束通り意地が悪く、卑怯な手段でボートを破壊したりする。ヒロイン登場のため「だけ」に存在するような女子校チーム。何故か主人公らを妨害しにくるマヌケ軍曹なども笑える。ちなみに犬の名前はチャック。ナイスな名前だ。
「ホットショット」や「ポリス・アカデミー」のようなコメディーである。
 まぁ、とにかく一度は観てみるといいゾ。


<死亡遊戯>
 ブルース・リーの遺作で、本当にこの映画の撮影中に亡くなってしまった。格闘シーンでは必ずしも無敵ではないリーの姿があり、常に悲しそうな音楽が流れているのが印象的だった。ただ、その全力で生きた彼の姿がフィルムに残り続けたことが偉大な功績である。人類の宝である。
 冒頭と、最後の終わり方が、ルーレットの中の映像になるのを見ては、これが人の一生なのだなぁ…と感慨にふけってしまう。
 ストーリーは、映画スターのビリー・ローが映画の撮影中に事故と見せかけられて、暗殺されてしまう。本当は銃弾が顔をに命中したものの彼は生きていた、しかし顔を砕かれたためスター人生は終わってしまう。彼は事件の影に潜むマフィアに復讐するため、表面的に死んだことに見せかけておいて敵を追い詰めていく。
この、(偽装であるが)国民的スターが死んだ結果、葬儀には街中に溢れかえるほど大勢の人が涙を流しで参列している。 言わなくても分かると思うが、この葬儀のシーンは彼が本当に亡くなった際の映像である。国を挙げてまで葬儀が行われるスターなんて、そうあまりいないだろう。

 最後の黒幕を追い詰めるべく、ビルの最上階めざして登っていくと各階に強敵が立ちはだかるのであった。巨人や空手家、フィリピーノ・マーシャルアーツの使い手など、一人倒してはまた次の階段を登り、ヘトヘトになりながらも多彩な技でそれを仕留めていくリーの姿に、見るほうもつい力が入ってしまう。


<ジャッカル>
 凶悪な暗殺者「ジャッカル」の犯行を防ぐため、特例として元スゴ腕工作員の囚人に協力を仰ぎ、ジャッカルとの攻防が切り広げられる作品。素敵な悪役はブルース・ウイリスで、スゴ腕の元工作員はリチャード・ギア。どちらもシブイ役柄です。
個人的にはドラマ「刑事ナッシュ」や「ダイ・ハード」のウイリスなどの声優をしている野沢那智さんの喋り方が好きだ。でも、DVDでは磯辺勉さんが吹き替えをやっている。
ジャッカルは正真正銘の悪役だが、仕事に美学を持っているように思えるせいか憎めない。彼は己の知恵とハイテク兵器を駆使して、徒党を組まず一人で闘うのだ。
 そんな悪役の活躍を楽しむ作品かも知れない…。


<ジャッカルの日>
 フランスに実在したド・ゴール大統領を暗殺しようと、スゴ腕の暗殺者が雇われた。コードネーム「ジャッカル」との攻防を繰り広げるのはベテラン捜査官のルベル刑事だ。本作品は同名のSF小説を映画化したもので、内容はだいぶ変わっているが上記の「ジャッカル」も本作品のリメイクである。
 「ボーン・アイデンティティー」シリーズとは違い、BGMとよばれる音楽は無く、静寂と銃声だけが常に支配している。冒頭に「ダダダン、ダン、ダン…」とターミネーターのような不気味な音が鳴って、銃撃戦から始まるのだが、それからずっとBGMは無し。物語が終わってエンドロールが流れたあと、こちらが「ほっ…」と一息ついたところに、再びあの「ダダダン、ダン、ダン…」という音が鳴って、「うわっ!!ジャッカルが出た!」と私は恐怖を抱いてしまう。これが本当の効果音というものである。

 これは本当に実在したスパイ映画のようだ。派手なアクションはなく、エドワード・フォックス扮する殺し屋は、鉄パイプを組み立てた特注の狙撃銃や、数種類の偽造パスポート、染髪料や偽装したアルファ・ロメオなどを、巧みに使い分けて国境線を潜り抜ける。ルベル刑事はいつもあと一歩のところでジャッカルに先を越されてしまう。いよいよド・ゴール大統領が式典に姿を現してしまったそのとき、果たしてジャッカルを阻止できるのか!?
 本当に最後まで緊張してしまう映画だ…。
これを見た後に、ずーーーっとBGMが流れている「ボーン・アイデンティティー」シリーズを観ると、もし音楽が無かったらどんなチープな印象になってしまうだろうかと考えてしまう。



<Shall we dance?>
 日本のオリジナル版。役所公司さんと、竹中直人の演技が超ステキである。というか、登場人物にムダがない。日本の映画は、ほとんどが本当に起こりそうなことしかテーマにならないし、またフィクションが登場すれば妙なSFチックで軽薄な印象を与える傾向にあるが、この作品に関しては最後まで聴衆も一緒にダンスの練習をしているような感覚にとらわれてしまう。
 典型的な日本のサラリーマン社会がよく映し出されている感じがする。
主人公は仕事も順調、家庭も順調、ひょんなきっかけで社交ダンスという夢中になるものを見つけてから、今までの生活と意識的なズレが生じてしまうのだが、ドロドロしないから最後まで安心して見られる映画である。
 男は不純な動機でレッスンを始めるわけだが、何か物憂げな表情の女に惹かれてしまうというシチュエーションを見事に演出してみせるのが、「羅生門」のように藪の中から出てきた女が美しく見えるのと同じく、監督の力量かなと思った。


<首都高速トライアル5>
 いかにもB級、Vシネマ映画の香りがプンプンするこのタイトル!配給元は日活です。うへへへ。でもカラミは無しね(笑)
こんな作品に限ってなんとシリーズもので、この5が「FINAL BATTLE」だそーです。中古ビデオ屋にはバトルの総集編もあったから計6巻か。
私の大好きなサバンナRX-7が活躍するので、それだけの理由でビデオを購入(←バカ)。他にもZ31フェアレディやS13シルビアも登場し、この80年代後半のクルマが大好きな人には…まぁまぁオススメ。ちなみに本作は92年度作品で、最後にはアンフィニRX-7(FD)が新車で登場します。最強の敵はお約束のR32GT-Rです。
 で、これにはドリフトキングこと、レーサーの土屋圭市が登場して、走り屋は暴走族だとキッパリ言っちゃいます。とんでもない暴走行為撮影しながら何言ってるの、って感じだが…これが本作品の重要なテーマか。主人公が生意気なやつで私的にはイマイチ。
走り屋はレーサーよりすごいんだぜ〜、俺は死なないから大丈夫だぜ〜、っていうよくいる中学生レベルの精神年齢タイプ。結局事故るけど(笑)やっぱり観ている方はイライラするぜ。やるならいっそ「ビデオ・オプション」くらい楽しくアウトローにやってほしい。

でもまぁ、最後は良い方向に更生してハッピーエンドなのかな?
最近「TouTube」でこのシリーズよく見かけますね。



<シュリ>
 韓国の誇る素晴らしいハードボイルド・アクション映画です!
アニメの「シティーハンター」やリュックベッソン監督の「レオン」が好きな人なら、きっと気に入るかも知れない。それに「ダイハード」の要素ををミックスした感じで。
 おすぎがCMで「私に騙されなさい!なんといっても愛!」とワケのワカラン解説をしており、ひょっとして「予算をかけたB級映画」の予感でワクワクしたものだが、深刻な南北問題をテーマに両国の工作員(スパイ)と秘密警察との悲哀(もしくは悲愛)を描く作品であった…。

 文化はまず模倣から始まる…。作品には日本のゲームやアニメ、ハリウッド映画等のカルチャー文化を色濃く取り入れた雰囲気が感じられる。もしこれが若手の素人監督の手によってならば「鮫肌男と桃尻女」や「ドーベルマン」のようになっていただろう…(笑)。
この映画に影響を受けたドリカムは監督にプロモーションを依頼したり、またそのような金魚蜂破壊シーンのあるドラマも時折見受けられました。
 アクションは説得力があり、強敵同士の激突という緊張感が常に張り巡らされている。そして、おすぎと重複するが「何といっても愛!」である(笑)ほんと愛。いや、マジです。
裏では互いに宿敵同士、しかし表の顔はお互い安らぎのある恋人同士。日常生活では絵に描いたような美しさではなく、どこか影があって人間味あふれる姿を覗かせます。

 あまりに熱狂したので、私は小説やサントラまで購入しました。


<シルミド>
 またまた韓国映画ですが、なんとこれ実際に起きた事件です。北の某将軍様を暗殺するために韓国の死刑囚がシルミドという島で戦闘訓練を受けます。彼らは社会的に抹殺されたことになり、また死んだとしても名前が残らない超極秘集団なのです。
 やがて殺人マシーンと化した彼らにいよいよ出撃命令が下されるが、南北和解ムードが高まり急遽ドタキャン。用済みになった彼ら全員に抹殺指令。そこで止まらないのが殺人マシーンよ。
彼らは大統領官邸に突撃し、追い詰められ、市街地でバスジャックした末に大爆発を起こして自決。
 先述した訓練シーンはスゲー!!と思って観てたが、やはり脱走兵のレイプシーンはいただけません。中国・韓国映画やドラマの欠点はやはり、まだ今一歩の品位が足りないことでしょう。国際化に向けて中国政府など対策に必死のようですが…。
私が「カンフーハッスル」を序盤で観るのやめちゃったのも、どうも敗者に屈辱を与え続けるような描写が好きになれないからでした。私にもまだ「武士の情け」がDNAに眠っていたせいだろうか…。


<シン・レッド・ライン>
 第二次大戦で激戦地だったガダルカナル島の様子をアメリカ側から捉えます。戦争の狂気と、その瞬間に写り込む美しい自然との対比が、我々に「戦争って、なんて愚かなことをやっているのかななぁ…」と思わせるのです。
銃撃戦などはそれほど派手ではないですが、まぁリアルな戦争映画だと思います。バカな上官に無茶な作戦命令を出されたり、単純なミスで死亡する兵士がいたり、瀕死の兵隊がまだ年端もいかぬ少年だったり。
 日本兵はトーチカに篭って必死の抵抗をするので、なかなか落とせません。いよいよ襲撃に成功したかといえば、そこには友をかばって号泣する青年日本兵や、呆然と空を見上げている者、もう殺されると念仏を唱え続ける者、いろいろである。

この映画を観ていたらウチのじーさんがやって来て、「戦争中は米軍機が飛んできて、こんな風に骨と皮になった兵隊のビラを撒いていったんだよ」と教えてくれた。

ベルリンの映画祭でも金獅子賞を獲得した作品です。
テーマ性をもった戦争映画としては極めて優秀だと思われます。


<人狼>
 押井守の監督アニメ作品。舞台は日本の昭和40年代っぽい雰囲気。警察隊とゲバ棒や火炎瓶を持ったデモ隊との衝突や、デパートの屋上にある遊園地など、ほんの数十年前まで日本にあった風景が描かれている。日米安保で騒いだりしていた高野悦子の『二十歳の原点』の頃の時代設定か。
 ストーリーはパワード・スーツを着込んだ特殊な武装警察の主人公が、地下の工作員であった少女の死をトラウマとして生きていくもの。レジスタンスを追い詰めたところで「なぜだ…」と問いかけている主人公の目の前で、怯えたその少女が信管を抜いて爆死したのである。
 で、ある日その遺族の姉妹が主人公の前に現れるのだが、それは自決した少女と生き写しなのであった。トラウマを抱える主人公に対し、その少女は「許した」というが、彼に近づいてきたことにはやはり理由があった。

終盤の「お前だって人間だろーがぁぁぁぁぁっ!!」ってセリフが大好き。ババババンッ、ぐしゃ!!


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