09.01.18



純正の車載工具を語る。

 今回は地味でマニアックな記事なので、私の本領発揮である…(笑)。

 工具マニアのwebサイトを見ていて、純正工具を褒めている記事はまず見つからない。
プロの著書を読んでみても、よく言えば「そのクルマと最も相性の良い工具」になるが、
その品質は「いざという時に無いよりマシなレベル」ということになる。
いずれにせよ、応急処置の為にあるので、あまり良いものではないというのが定説である。

 初めてカブの車載工具を見たときは「なんじゃこのメイド・イン・ベトナムは〜っ!?」と思ったが、
プレオの車載工具を見たら、同じドライバーが出てきて「うわ、出たーっ!!」と二度ビックリした事がある。(笑)
小さな黒いグリップの差し替えドライバーなのだが、なんとプレオの方には「MADE IN JAPAN」の文字があって、またまたビックリした。
Google先生に訊いてみれば、この純正工具を作っている会社が見つかるかもしれない…。
カブの純正スパナにはメーカーとおぼしきRKの刻印がある。
ヤバイ、すっげー気になるゾ。これは…(笑)。

 車載工具といえば、日本の最大手工具メーカーのKTCは、トヨタに納入していた事がわかっている。
現代のクルマはすっかり高品質でメンテフリーになったので、一般ユーザーが整備をする必要もなくなり、車載工具が付属していない事が多くなったそうだ。そういえば、スペアタイヤを付属していないクルマもあるね。
いざとなったらJAFやクルマ屋さんを呼べば済んでしまうから、工具がいらなくなった分はコスト削減と軽量化に貢献するのだろう…。

 車載工具ってコスト的に見たら、ギリギリの要求品質を満たした上でかなり安く作ってあるようだ。
スパナなんか、ただあのカタチに鉄板をブチ抜いただけのような気がする…。
害になるようなバリは無いけれど、面取りや表面処理というには、ちょっとお粗末な見てくれである。
でもよーく見ると、ボルトやナットに触れる部分には平面に加工したような痕跡が見られる。
先端もヤリ型に尖っているところを落としてあるぞ…?あれ?
クルマのホイールナット用レンチって短いから、人力だと一定以上は締まらないけど…。
もしかして、これってよーく考えて作られているのか?
品質も製造ラインで検査冶具に当て嵌めて、不良品の選別くらいはしているはず…。

 ちょっとカブの車載工具を検証してみよう。
カブは左側のサイドカバーに車載工具を収納するようになっている。
ところが、このサイドカバーは実際思っていたよりずっと狭い空間なのである。
そこに全部がオールイン・ワンしてしまうのだから恐れ入る。
 ある意味、「究極のパッケージング効率」なんじゃないか…?
単独の登山みたいに、必要最小限の道具をパッキングしなきゃいけないのが純正工具である。
そういう観点で見ると、なかなか優れた機能性のある道具だといえる。



 私はカブの日常点検ができるだけの工具を揃えたが、いくら整備性に優れたカブでも純正の車載工具と同じ機能のものを全部揃えたら、結構な金額がかかってしまう。
当然、工具の長さも重さも一回り大きくなってしまった…。
青いペナペナの、小さなビニール製の収納袋に収まらなくなったときには、思わずウーン…と考えてしまったね。
 カブの車載工具って、チェーンの張り調整に必要なリアの19・23mmボルトと14mmナットにも使えるから、アクスルシャフトが外せるんだもの。プラグ交換だってヘタにラチェットを使うよりは、手で止まったところから1/2回転と数えた方が、トルク管理が間違いない気がする。

 そんなわけで、普段からマメに点検したり、整備のプロに見てもらう人は、大げさな車載工具は携行しなくても大丈夫な気がする。心配なら一万円札を持ち歩くか、少しずつ精度の高い工具に交換すれば。
特にプラグレンチの場合、友達のカワサキ・Ninja ZX-10Rみたいに純正のものでないと整備できない事もある。
あくまで応急処置に限っていえば、車載工具でも結構イケるかもしれない。
少なくとも、私はバカにしていないゾ。

 一流工具メーカーのものはとても使いやすいので、メカに親しみたい人は揃えた方が良いだろう。
強度の高い材質は叩けば「パキン!」とカン高い音がするし、メッキの輝きも所有欲を満たしてくれるはずだ。
何より、使用したときにしっかりと力がかかるし、ネジを舐めることも少なくなるだろう。
あちこちメカをいじったり工作する人は、良い工具を使えばもっと早く使えばよかったと実感するはずだ。
本来はメカをいじるために工具を愛用するのだが、工具そのものも愛玩の対象にしてしまう変態的メカニックな人にも、当然優れた工具収集はオススメであるが…。

私じゃありません(笑)。


アデウ。




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